伝統工芸を建築に融合させる新たな挑戦、KASASAGI STUDIO設立

伝統工芸と新たな建築の可能性 — KASASAGI STUDIOの誕生

2025年2月15日、株式会社KASASAGI（東京都中央区）が一級建築士事務所「KASASAGI STUDIO」を設立しました。これは、伝統工芸と建築空間の融合を目指す新たなデザインビルドスタジオです。KASASAGI STUDIOは、伝統的な技術や素材を用いて、革新的な空間デザインを提供することに挑戦します。

設立の背景と経緯

KASASAGIは2020年に設立し、以来、多くの伝統工芸品を取り扱ってきました。オンラインショップ「KASASAGIDO」やカタログギフト「NICHI」を通じて、日本の伝統美を広めてきた同社。しかし、物販を超えて、空間デザインへと大胆に事業を広げることを決断しました。伝統工芸はこれまで、器や家具として存在していましたが、新たに「空間」というフィールドを得ることで、より大きな表現力を発揮します。

KASASAGIは、従来の建築業界では難しかった、伝統工芸と建築設計の橋渡しを目指しています。これまでの経験をもとに、伝統工芸の特性を理解する設計チームを構成し、設計から施工までを一貫して行う体制を整えました。この取り組みにより、伝統工芸の空間活用が現実のものとなります。

伝統工芸業界の課題と革新

市場調査によると、伝統工芸市場の規模は約870億円、就業者数は5万4千人とされていますが、一人当たりの生産額は僅か161万円に過ぎません。これは業界全体にとって非常に厳しい現実を物語っています。価格競争が激しい中で、工房の存続が危ぶまれ、職人技術が失われつつある今日、KASASAGI STUDIOはその課題に立ち向かっています。

一級建築士事務所の設立によって、KASASAGIは建築と伝統工芸の専門知識を有した人材が協力し合う体制を確立しました。これにより、両者のコミュニケーションを円滑にし、品質や安全性保障の難しさを克服する目指しています。伝統工芸の可能性を最大限に引き出し、新たな市場を創出することを目指しています。

ボードメンバーとサポート体制

KASASAGI STUDIOの設立を牽引するのは、塚原龍雲代表取締役です。彼は日本文化の魅力を再認識し、世界に発信することを目指しています。統括プロデューサーとして、文化芸術のイノベーションに貢献してきた彼のリーダーシップは、KASASAGI STUDIOの成長に不可欠です。

設計責任者には、木田佳仁氏が名を連ねています。彼は国際的なデザイン実績が豊富で、NOBUレストランなどの設計経験を活かし、プロジェクトの成功に寄与します。さらに、活動をサポートするためのプロフェッショナルな施工事業者とも連携を図ります。

日本橋に展示商談室を設置

東京都中央区日本橋室町には、伝統工芸のサンプルパネルを展示する商談室を開設しました。ここでは、実物を見ながらのお打ち合わせが可能で、顧客やパートナーとの関係を深める場として機能しています。KASASAGI STUDIOが提供する空間は、美しさと機能性が調和したものとなり、より多くの機会を創出することになります。

美意識を反映した新しい空間デザイン

KASASAGI STUDIOが力を入れているのは、職人技術に裏打ちされた伝統素材の活用です。日本の美意識を現代的に再解釈し、独自のデザインプロセスを取り入れています。素材や技術への理解を深めた設計により、利用者に心地よさと美しさを届ける新たな空間が生まれることでしょう。

伝統工芸の未来とKASASAGIのビジョン

KASASAGI STUDIOの設立は、伝統工芸が建築領域で新たな可能性を見出す第一歩です。共同作業を通じて、職人の技術を継承し、文化を守りながら、経済活動の中でその魅力を存続させることが私たちの使命です。今後、伝統工芸が注目を浴びる業界となることを目指して、KASASAGI STUDIOは歩み続けます。