新たな感染制御への挑戦
2023年10月、国立大学法人電気通信大学、アンデス電気株式会社、NTTスマートコネクトの3社が共同で医療施設におけるHEPAフィルター搭載空気清浄機の感染制御効果を追求する研究を開始しました。この取り組みは、医療施設での感染症対策の向上を目指すもので、産学連携によるものです。
医療現場における現状と課題
アメリカ疾病予防管理センター(CDC)や日本の厚生労働省も推奨する空気清浄機。特にHEPAフィルターは空気中の花粉やウイルスを高い精度で捕集し、クリーンな環境作りに欠かせません。しかし、これまでの研究は主に実験環境でのもので、実際の医療環境での効果は十分に検証されていなかったのが実情です。そのため、信頼性のあるデータを得るための長期的な検証が不可欠とされてきました。
共同研究の取り組み
今回の共同研究では、IoTセンサーを活用し、リアルタイムで空気清浄システムの効果をモニタリングします。京都市内の2つの病院にて、2025年2月からHEPAフィルター搭載空気清浄機の効果を実証する予定です。これにより、実際の医療現場でのデータを基に、空気清浄システムの運用に関する新たな知見が得られることが期待されています。
研究プロセスの詳細
この研究は、医療機関特有の環境要因を考慮し、シミュレーションや統計的手法を取り入れた工学的アプローチで進行します。具体的には、HEPAフィルター搭載型空気清浄機を20台、IoTセンサーを用いた環境モニタリングシステムを設置し、空気環境の質を総合的に評価していきます。これにより、感染症対策に関する科学的根拠を深め、医療現場の安全性を高めることが目的です。
各参加企業の役割
このプロジェクトにおいては、各社がそれぞれ特有の役割を持っています。電気通信大学は研究の総括と実施を担い、アンデス電気は技術支援を行います。NTTスマートコネクトは機器の提供を行いながら、研究支援に貢献します。
参加病院の役割
さらに、協力病院として武田総合病院と京都桂病院が名を連ね、患者に質の高い医療環境を提供するためにHEPAフィルターを各病院に設置します。この共同研究を通じて、全国の医療現場での感染防止策が強化されることが期待されています。
未来の展望
本共同研究の成果は、学会発表などを通じて広く発表し、医療施設における実践的な感染対策の向上に貢献することが目指されます。また、研究の成果を基にしたさらなる革新的な感染対策ソリューションの開発も見込まれます。
用語の解説
- - HEPAフィルター: 空気中の微細粒子を効率よく捕集するためのフィルターです。
- - 院内環境モニタリングシステム: 医療機関内の温湿度や照度を監視するシステムを指します。
今後の進展に注目が集まります!