自由な時間をめぐる旅
立山紘氏が発表した写真集『自由な時間Amazing Japan Photo』は、彼自身の心の探求を反映した珠玉の作品である。本書は、自然の美しさと都市の喧騒が織りなす心の自由をテーマにしている。彼はカウンセラーとしての経験を元に、個々が抱える内面的な制約とそれを超える自由の概念を表現することを目指した。
社会的、歴史的自由とは
立山氏は、自由という概念がさまざまな側面を持つことを説明する。彼によれば、個々が感じる自由は、内面的な視点からしか測れないものである。社会や歴史がどれほど変化しようとも、心がその自由を感じることこそが重要であると話す。彼は自由を「リバティー」と「フリーダム」に分け、それぞれが持つ意味を深く掘り下げていく。リバティーは心の中にある制約から解放されることであり、フリーダムはその先に広がる景色を指す。
制約と呪縛の真実
立山氏は、現代社会が抱える呪縛についても触れる。彼は、個々の心の中に存在する制約や機制が、時に助けになる一方で強い束縛にもなりうると警鐘を鳴らす。私たちの行動は、潜在意識に影響されることが多かったり、育成環境に応じて形成された生存戦略が影響を及ぼしていると語る。これらの内面的な葛藤は、自身の生き方に直接的な影響を与えるものであり、気づかぬうちに「呪縛」となっていることがあるのだ。
自然との対話
写真的なアプローチにおいて、立山氏は自然とのシンクロニシティについて述べる。彼が最初に写真家としての道を選んだのは、厳しい自然と向き合うことから始まった。極限の環境で得られた経験が、彼に大きな内的洞察をもたらし、それぞれの写真の背後には無数のミスショットが隠れていることを明かす。自然の中での自己内対話は、彼が求める「自由」の探求と結びついている。
都会の風景との共存
立山氏は、雪国の風景と都会の雑踏を同じ一冊に収める意図についても言及する。コロナ禍による価値観の変化と人々の内面に潜む分断の問題を意識し、「都会の写像」と「雪原の荒涼」を一緒に描くことで、読者に心の中での調和を促したいという願いが込められている。
読者へのメッセージ
本書『自由な時間』を通して立山氏は、読者に内面の奥行きを広げること、そして他者を認める器量を持つことの重要性を伝えたいと語る。彼は、心理的な安定と多様性の中で自らのアイデンティティを保ちつつ、新たな自由を見出すことができると信じている。最後に、彼の詩的なメッセージを読むことが、心のリフレッシュになることを期待したい。
本書は、心の自由を拡げ、多様性を認めるためのサプリメントとなることを目指している。立山氏の深い洞察と美しい写真が融合したこの写真集を手に取り、自身の心と向き合うきっかけにしてほしい。