日工株式会社が開発する水素バーナー対応型アスファルトプラント
日工株式会社(以下、「日工」)は、世界初となるアンモニアから水素を生成し、それを燃料として利用する水素バーナ対応型のアスファルトプラントの開発に本格的に取り組むことを発表しました。この革新的な技術は、持続可能なエネルギーの利用と環境保護に寄与することを目的としています。
アンモニアから水素へ
日工の新型アスファルトプラントでは、アンモニアを水素と窒素の混合ガスにオンサイトで変換します。この技術により、アンモニアの高い貯蔵性と搬送性を活かした燃料供給が実現し、クリーンな水素が供給されることで環境負荷が大幅に軽減されます。
2024年2月には、社内で実施された燃焼試験において、500kWの水素バーナでの専焼が可能であることが確認されました。この試験により、燃焼時の排ガスに含まれるNOx(窒素酸化物)もプラントの規制値をクリアしており、実用化に向けた大きな一歩となっています。
環境問題への取り組み
日工は、カーボンニュートラルの実現に向けて、2050年までの目標を掲げています。日本国内でのアスファルトプラントからのCO2排出量は、国内の総排出量の約0.1%を占め、年間115万トンに及びます。燃料をアンモニアに転換することで、その削減が急務であると認識しており、2030年までには温室効果ガスの46%削減を目指しています。これに伴い、アンモニアを燃料とした新しい技術に注目が集まっています。
技術の背景と特性
日工は、アンモニアの特性を理解し、その燃焼技術を開発することで、新しい燃料供給システムの提供を目指しています。2022年には大阪大学大学院と共同でアンモニアを燃料としたバーナの開発を行い、2023年には東京ガス株式会社と水素専焼バーナの開発にも成功しています。この技術により、両燃料の特性が明らかになり、バーナの燃料転換における技術的な解決策が提供されました。
アンモニアの特性
アンモニアは貯蔵性と搬送性に優れていますが、その燃焼速度が遅いため、大型の燃焼炉が必要となる可能性があります。また、燃料中に含まれる窒素が少量でもNOxの発生を促進させるため、環境への影響を考慮した燃焼技術が求められます。今回の日工の開発によって、これらの課題に対処し、アスファルトプラントへの実装を目指しています。
水素の特性
水素は高い燃焼性を持ちながらも、局所的な熱負荷が高くなるためNOxの発生が増えることが課題とされていました。しかし、日工はバーナ内部のノズルと周辺の部品を最適化し、NOxの低減に成功しています。これにより、水素を燃料とすることでより効率的な燃焼が実現しています。
今後の展望
日工は、2025年3月に前田道路株式会社と共同で実証実験を行い、システムの実用性を検証します。この実験をもとに、さらなる技術の向上を目指し、2027年までにはアスファルトプラントへの実装を計画しています。この試みは業界全体に広がり、持続可能な社会の実現に寄与することが期待されています。
会社概要
日工株式会社は、1919年に創業し、現在では日本のインフラを支えるプラント機械メーカーとして広く知られています。アスファルトプラントの国内シェアは約80%を占め、大型インフラから日常の道路整備に至るまで、地域の発展に貢献しています。
- - 会社名: 日工株式会社
- - 代表者名: 辻 勝(つじ まさる)
- - URL: 公式サイト
- - 所在地: 〒674-8585 兵庫県明石市大久保町江井島1013-1
- - TEL: 078-947-3131(代)
日工の取り組みは、エネルギー問題に対する重要な解決策を示唆しており、その実用化が待たれます。