巡回展「ジャネット・カーディフ40声のモテット」
12月13日に丸亀市猪熊弦一郎現代美術館でスタートした展覧会では、カナダのアーティスト、ジャネット・カーディフの代表作《40声のモテット》が鑑賞できる絶好の機会です。この作品は、2001年に初公開されて以来、世界中の約60ヶ所でも展示され、サウンドアート界では特に高く評価されてきました。展覧会は2026年2月15日まで開催され、鑑賞者に独自の音空間体験を提供します。
作品の特徴
《40声のモテット》は、16世紀のイングランドの作曲家トマス・タリスによる聖歌の作品を基にしており、特にリスナーに強い印象を与えるための工夫が施されています。展覧会場には、40台のスピーカーが楕円形に配置されており、聖歌隊が歌う声が個々に再生されます。これにより、訪れる人々はまるでリアルタイムで聖歌隊のパフォーマンスを体験しているかのような没入感に包まれます。
空間との融合
丸亀市の美術館は、谷口吉生氏の設計による開放的な空間が特徴です。特に展示室Cは高い天井を持ち、最も広いスペースを誇っています。この空間で作品を鑑賞することで、音楽と空間の関係性をより深く理解することができ、音響が彫刻のような立体的な広がりを持つ様子を実感できます。
音が生み出す彫刻的体験
この展示では、音が生み出す錯覚によって、鑑賞者は作品の内側に入り込み、心地よい音響に包まれます。鑑賞者が空間を自由に移動しながら音を楽しむことで、視覚だけでなく聴覚でも深い体験を得ることができます。これにより、聴覚に訴えかける新しいアートの形がここに現れています。
展覧会の開催地
丸亀市猪熊弦一郎現代美術館は、地元の芸術家と密接に関わりながら、現代アートを広めるための拠点として重要な役割を果たしています。本展は、原美術館ARCを皮切りに、金沢21世紀美術館、長崎県美術館と巡回してきた最後の展示となるため、非常に貴重です。展覧会を見逃すと、国内ではこの作品を体験できる機会がなくなってしまう可能性があります。
特別プログラム
展覧会の他にも、12月14日、2026年1月11日、2月8日にはキュレーターによるトークイベントも予定されています。参加は無料ですが、本展の観覧券が必要です。また、1月24日、25日には「親子でMIMOCAの日」という特別な日も設けられ、高校生以下の観覧者が同伴者2名と一緒に無料で入館できる特典もあります。
作家プロフィール
ジャネット・カーディフは1957年にカナダで生まれ、サウンドと彫刻を組み合わせた革新的な作品を生み出しています。彼女は特に、聴覚を通じた体験を重視し、観客を深い没入感へと誘います。2001年にはヴェネツィア・ビエンナーレで特別賞を受賞し、その後も数々の国際的な展示に参加しています。
開催概要
- - 展覧会名:ジャネット・カーディフ40声のモテット
- - 会場:丸亀市猪熊弦一郎現代美術館
- - 所在地:香川県丸亀市浜町80-1
- - 会期:2025年12月13日(土)〜2026年2月15日(日)
- - 開館時間:10:00-18:00(入館は17:30まで)
- - 休館日:月曜日(2026年1月12日は開館)、12月25日(木)〜31日(水)、1月13日(火)
文化活動やアートに興味のある皆様には、ぜひ足を運んでいただきたい魅力的な展覧会です。音楽の持つ力を新たに体感する機会をお見逃しなく!