江戸時代、それは日本の食文化が深く根付いた時代であり、特に魚食の文化が重要視されていました。しかし、冷蔵庫が存在しない当時、魚をどのように楽しんでいたのでしょうか?この問いが新刊『江戸時代の文献から見る魚食の分析』の中で繊細に探求されています。
著者の島早里奈氏は、神戸女学院文学部及び神戸大学大学院での研究を重ねた後、江戸時代の食文化の奥深さを伝えるべく本書を執筆しました。本書では、文政5年(1822年)の料理本『江戸流行料理通』と、明和2年(1765年)の川柳集『誹風柳多留』という二つの文献を基に、当時の魚料理にまつわる人々の思いや文化的背景を明らかにしています。
江戸時代の庶民にとって、魚は日常の食卓に欠かせない存在でした。江戸時代の川柳からは、魚に対する庶民の視点や、その位置づけが鮮やかに描かれています。例えば、魚の特徴であった強い臭いなど、保存状態に懸念があったにもかかわらず、当時の人々はどのようにそれを楽しみ、また料理に繋げていたのでしょうか。本書では、魚食の文化をさらに掘り下げながら、料理本『江戸流行料理通』に掲載された高級料理屋「八百善」のレシピにも触れ、江戸時代の魚料理を楽しむための知恵やアイデアがどのように成長してきたかを詳細に紹介しています。
『江戸時代の文献から見る魚食の分析』は、これらの食文化を深く理解する手助けとなる一冊です。読者は本書を通じて、魚食が持つ豊かさだけでなく、日本文化がどのように発展してきたかを紐解くことができます。さらに、現在テレビ放送中の「べらぼう」での魚食文化の再現も話題になっています。
この書籍の発売を心待ちにしていた辻ウェルネスクッキング近鉄あべのハルカス校の佐川進校長も推薦文を寄せています。彼は本書を手に取ることで、読者は『美味しい、健康に良い、きめこまやかで美しい』食文化の背景に触れ、真の豊かさを感じられると語っています。
本書は、魚食文化を知りたい方のみならず、江戸時代に興味があるすべての人にお勧めの一冊です。料理や川柳を通じて、当時の日本人の生活に思いを馳せることができることでしょう。是非、手に取ってその魅力に触れてみてはいかがでしょうか。発売日は2025年7月14日、価格は1,430円です。