障がい者が事業主となる新たな挑戦
株式会社TANEBI(滋賀県近江八幡市、代表取締役:杉之原千里)は、障がい当事者とその家族に新たな選択肢を提供するべく活動しています。その取り組みが評価され、公益財団法人糸賀一雄記念財団の「第12回糸賀一雄記念未来賞」を受賞しました。
TANEBIの発端
TANEBIの原点は、代表取締役の杉之原が自閉症の娘とともに開いた小さなお菓子屋「みいちゃんのお菓子工房」です。2020年に始まったこのお菓子工房は、障がい、不登校、ひきこもりといった理由で社会参加が難しい人たちへ、新たな道を示す存在となっています。
糸賀一雄記念未来賞とは
この賞は、障がい者福祉の礎を築いた故・糸賀一雄氏の思想を受け継ぎ、福祉や教育、医療など多彩な分野における先進的な取り組みを表彰するものです。TANEBIの事業は障がいを持つ人々が自ら事業主としての役割を果たすことを支援する点で高く評価されました。
障がいと社会参加の課題
社会の支援制度はしばしば縦割りです。障がいは福祉、不登校は教育、ひきこもりはまた別の支援にカテゴライズされます。しかし、実際にはこれらの問題が複雑に絡み合っています。杉之原は、こうした現状に気づき、2025年にTANEBIを設立する決意をしました。
新たな事業形態の意義
TANEBIは株式会社としての形態を選択しました。これは、自らの特性に応じた自由な事業活動が可能であるためです。特定の福祉制度に囚われることなく、企業や教育機関、地域社会との接点を持ち、障がいを個性と捉える発想で新しい道を開いています。
第3の道への挑戦
TANEBIでは、起業家を育てることが目的ではなく、社会参加の入口を提供することを重視しています。子どもたちや障がいを持つ人、ひきこもりの若者たちが自分自身の特性を活かし、小規模な経済活動を通じて社会との関わりを持てるようになることが狙いです。自分の好きなことをしたり、他者に教えたりすることで、対価を得ることの意義を知ってもらいたいと考えています。
TANEBI STORYの現状
2026年には、会員制コミュニティ「TANEBI STORY」が開講しました。国内外から54名が参加し、障がい者やその家族、ひきこもり経験者が自己理解を深めながら社会参加の方法を模索しています。このコミュニティでは、単に経営の知識を教えるだけではなく、学びや体験を社会との接点に繋げることが目指されています。
みいちゃんのお菓子工房が示す力
開業から6年が経過した「みいちゃんのお菓子工房」では、自閉症の娘が独学でお菓子作りを学び、店長として活動しています。最初の目標は小さくても、その成功は自分のペースで働くことができる環境を作り出しました。これにより、お菓子作りを通じて顧客との関わりが生まれ、自己肯定感や自分の意思で選べるという経験が形成されていったのです。
TANEBIが目指す未来
杉之原は単に収入を増やすことを目指すのではなく、自分自身で選べる選択肢を提供する社会を志向しています。障がい、不登校、ひきこもりといった問題を分けるのではなく、これらを包括的にとらえた支援が必要だと強調します。TANEBIは各分野を横断し、様々な事例を通じて一人ひとりの可能性を引き出すことを実現するための事業を進めています。
最後に
TANEBIの取り組みは、「みいちゃんのお菓子工房」の成功を基にしており、その事例が今後の障がい者支援のモデルとなることを期待しています。また、TANEBIが目指す社会参加の仕組みが、障がいを持つ人だけでなく、広く社会全体に良い影響をもたらすことを信じています。