JPX総研が提供する新たなスキル情報データ
2023年に入り、JPX総研が上場会社の取締役および監査役に関するスキル情報のサンプルデータを提供を開始しました。このデータは、株主総会の招集通知に書かれた内容を元に、生成AIを利用して抽出したものです。目を引くのは、そのデータが8つのカテゴリに分類され、それぞれの取締役や監査役の持つスキルがどういうものかを可視化し、マッピングできる形になっている点です。
スキル情報の重要性
近年、コーポレートガバナンスが注目される中、各企業が取締役会に求めるスキルの特定とそれを開示することが重要視されています。特に、株主たちにとっては、取締役のスキルの組み合わせが経営状況を知る手掛かりとなり、議決権を行使する際の参考情報となることが期待されています。
企業はスキルマトリックスを用いて取締役のスキルを開示することが一般的ですが、スキル分類や表示形式が企業ごとに異なるため、集計や分析が難しいという現状も存在します。このような背景を受け、JPX総研は各企業の取締役および監査役のスキルを一つのプラットフォームで簡便に分析できるサービスを提供することを目指しています。
無料サンプルデータ提供の背景
JPX総研では、今後の正式なサービス提供に向けてデータ改善を目的とし、ヒアリングに協力していただける方にこのサンプルデータを無償で提供しています。データは2023年7月13日以降、最新の株主総会招集通知に基づいており、東京証券取引所に上場している企業を対象にしています。
提供されるデータについて
このサンプルデータは、約3,700銘柄に及び、各上場会社の取締役や監査役が持つスキルの一覧や、それに関連する株主総会招集通知のリンクが含まれています。これにより、取締役や監査役のスキルを簡単に確認できるようになっています。
ただし、注意点としては、企業によって株主総会招集通知にスキル情報が記載されていない場合があるほか、生成AIによる集計には一定の精度のばらつきがあるため、正確性を保証するものではないという点です。 それでも、この取組みは企業の透明性を高め、投資家にとっても有益な情報源となり得るでしょう。
申し込みと利用方法
サンプルデータを希望する方は、JPX総研のウェブフォームを通じて申し込みを行う必要があります。サンプルデータの利用可能期間は、データ提供日から2か月間です。利用が終了した後には、データの削除が求められます。また、簡単なヒアリングへの協力が条件となりますので、その点をご留意ください。
JPX総研は、今後もデータと技術を活用した新たなサービスの提供を進め、金融市場の機能強化と効率化を図るべく努力を続ける所存です。この新しい取り組みがどのように企業や投資家に影響を与えるのか、注目が集まります。