グラフェン厚膜電極の製造に成功
近年、持続可能なエネルギーソリューションの重要性が高まっている中、株式会社マテリアルイノベーションつくばと大同メタル工業株式会社は、革新的な技術を用いた世界初のグラフェン厚膜電極の製造に成功しました。
この新技術により、従来の蓄電デバイスの限界を突破し、高エネルギー密度を実現しました。
新技術の背景
蓄電技術の急速な発展に伴い、高 performanceで持続可能なエネルギー貯蔵技術が求められています。そのなかで、二次元炭素ナノ材料であるグラフェンは、高い電気伝導性と化学的安定性を持つため、スーパーキャパシタの電極材料として注目を集めています。しかし、従来のグラフェン電極には特性劣化の課題がありました。
そこで、マテリアルイノベーションつくばは、カーボンナノチューブを使用したスペーサー技術を開発し、「Gmit®」という新しい複合材料を誕生させました。
成功した厚膜電極の製造
大同メタルはこの「Gmit®」を基に、電極シートの製造プロセスに独自の成膜技術を組み合わせることで、130μmから250μmの厚膜電極を実現しました。これにより、エネルギー密度は従来の活性炭電極と比べて約3倍に向上し、電圧の耐久性も3.2Vを達成しました。
さらに、自立膜として製造可能なため、後工程での圧密化が可能となり、多様な用途に適応可能な電極を生み出しました。
研究成果の影響
この新たなグラフェン厚膜電極は、業界最高水準の性能を示し、以下の特性を持っています:
- - 静電容量: 194 F/g
- - 重量エネルギー密度: 90 Wh/kg
- - 体積エネルギー密度: 63 Wh/L
これにより、次世代の蓄電デバイス市場においても、効率的で安全なエネルギー貯蔵が可能となり、メンテナンスコストも削減され、環境負荷を低減することが期待されています。
今後の展望
グラフェン厚膜電極は、蓄電技術の進化のみならず、急速充電技術の革新にも寄与する可能性があります。充電時間が数時間から数秒に短縮されることで、日常生活の利便性が大きく向上します。また、これにより分散型エネルギー源との連携が進むことが予想され、スマートグリッド技術の発展やクリーンエネルギー社会の形成に寄与するでしょう。
今後は、ロボットやドローン、モビリティ、再生可能エネルギーなど、幅広い分野への応用を目指している両社は、グラフェンを活用した次世代エネルギー技術の開発を進めていく方針です。持続可能な社会の実現に向けた大きな一歩となるだろう。
会社情報
株式会社マテリアルイノベーションつくば
大同メタル工業株式会社
高性能なグラフェン厚膜電極を実現したこの取り組みは、エネルギー貯蔵技術の未来を明るくする一助となるでしょう。