中古本に対する世代別の価値観
株式会社vivianeが運営する小説情報サイト「小説ヨミタイ」は、500名の小説ファンを対象にした興味深い調査結果を発表しました。調査は「中古本への抵抗感」と「読み終えた本を売るかどうか」という二つの質問を中心に行われました。
調査の背景と目的
デジタル化が進む現代においても、紙の本は多くの人々に愛され続けています。しかし、所有することや中古本への気持ちには世代ごとに大きな違いがあることが明らかになりました。この調査を通じて、異なる世代間の読書スタイルや価値観を探り、現代の読者の嗜好を理解することが目的とされました。
中古本に対する抵抗感
調査によると、特に20代は中古本に対する抵抗感が最も高い結果となりました。具体的には、31.9%が「中古本に抵抗がある」と回答。この世代が挙げた具体的な理由として、以下のようなものがあります。
- - 汚れやシミが気になる:本の見た目への関心が高い。
- - 前の持ち主が分からないことへの不安:過去の使用者の影響を気にする傾向。
- - においが気になる:香りに敏感な世代。
- - 使用感は集中の妨げ:精神的な快適さを重視。
このように、20代は新しさや清潔感を重視し、使用感のある本に対して強い抵抗を持っていることが分かります。
ミドル世代の受容度
一方、30代から50代のミドル世代では、中古本が広く受け入れられています。調査からは、30代で73.5%、40代で69.8%、そして50代に至っては87.3%が中古本を肯定的に評価しています。いずれの世代も理由は実用的で、以下のポイントが挙げられました。
- - 状態が良ければ十分:新品に拘らない合理的な価値観。
- - 価格が安い:経済的なメリットを重視。
- - 資源を無駄にしたくない:環境意識の高まり。
- - 絶版の本を手に入れやすい:ライブラリの拡充を目指す傾向。
これらの理由から、ミドル世代は中古本を自然に選ぶ文化が確立されていることがうかがえます。
売却文化とシニア層
特筆すべきは、60代以上のシニア層で、この世代は読み終えた本を売ることに対して最も積極的です。本を売ると回答した人の割合は56.5%と、全世代の中でトップを占めています。ミドル世代も高い割合を示し、特に30代と40代はそれぞれ42.4%、41.3%が「売る」と答えました。これにより、暮らしの最適化や循環意識が広がっていることが明らかとなりました。
若年層の本との距離感
調査の結果、特に目を引くのが10代の動向です。10代は「売る率が100%」という結果となり、「何度も読み返したい」がその理由として挙がりました。この年代は本を思い出や愛着として手元に置く価値観が強いため、他の世代とは全く逆のスタンスを取る傾向が見られます。
結論
今回の調査から得られた知見を総括すると、世代ごとに国の読書スタイルに明確な違いが見られることが分かります。10代は本を愛着の対象として所有し、20代は使用感に対して敏感であり、ミドル世代は実用性を求めて中古本を受け入れ、シニア層は環境意識から本を循環させる文化を抱いています。
同じ「本」に対しても世代によって異なる距離感が存在し、それが本の魅力をさらに引き立てているのです。