大日本印刷株式会社(DNP)が開発した「メタバース空間を利用したラーニングシステム」が、一般社団法人プラチナ構想ネットワーク主催の「第12回プラチナ大賞」において「プラチナチャレンジング賞」を受賞しました。この受賞は2024年11月6日に行われた表彰式で発表されました。
本システムは、不登校や日本語を学ぶ必要のある子どもたちに、インターネット上の仮想空間で居場所や学びの場を提供することを目的としています。特に評価されたのは、「誰一人取り残さない」との理念のもと、多様な学び方の選択肢を提供し、課題の解決を図ることでした。
メタバース空間を利用した新たな教育体験
DNPの「メタバース空間を利用したラーニングシステム」は、3次元(3D)空間を効果的に利用し、参加する子どもたちに新たな教育体験を提供します。このシステムは、特にコミュニケーションに苦手意識を持つ児童・生徒に対し、段階的なコミュニケーションの方法を取り入れることで、子どもたちが教育関係者やオンライン支援員と深いつながりを持つことが可能です。多くの児童・生徒がこのメタバースを「第三の居場所」と認識している点が特徴的です。
このシステムは、場所の制約を受けないため、教育支援センターが遠方にある家庭でもアクセスしやすく、全国どこからでも優秀なカウンセラーや支援員が雇用可能です。また、利用データや行動ログを蓄積・活用することで、不登校児童・生徒の変化を可視化し、より一層効果的な支援を実現します。
プラチナ大賞とその意義
プラチナ構想ネットワークは、「地球が持続し、豊かで、すべての人の自己実現を可能にする社会」を「プラチナ社会」と位置付け、その実現に向けた取り組みを評価しています。プラチナ大賞やプラチナチャレンジング賞は、社会や地域の課題解決に向けた先進的な事例を称えるもので、今回の受賞はイノベーションによる新たな教育モデルの実現を意味しています。
DNPの今後の目標
DNPは、さらなる地域間や教育機会の格差解消に向け、「メタバース空間を利用したラーニングシステム」の社会実装を進めていく方針です。教育関連事業としては、教員の働き方改革や指導の質向上に寄与するプラットフォーム「リアテンダント®」も展開し、全国約240の自治体に導入されています。さらに、XR技術を活用し、人々の体験価値を高める学習支援事業を加速させ、リアルとバーチャルの融合による新たな価値創出に努めるとしています。
これを通じて、DNPは不登校や日本語教育の必要がある児童・生徒への学びの環境を整え、社会課題の解決を目指していきます。