GLOCAL-EYEZ性能試験合格
2022-10-28 23:29:01
スマートフォンで路面点検!DXシステム「GLOCAL-EYEZ」が性能確認試験に合格
スマートフォンで路面点検!DXシステム「GLOCAL-EYEZ」が性能確認試験に合格
株式会社スマートシティ技術研究所とニチレキ株式会社が共同開発したスマートフォンによる道路点検DXシステム「GLOCAL-EYEZ」を搭載した車両が、一般財団法人土木研究センター実施の「2022年度路面性状自動測定装置の性能確認試験」に合格しました。
「GLOCAL-EYEZ」は、一般車両にスマートフォン1台を取り付け、通常通り走行するだけで路面性状を測定できる画期的なシステムです。専用機器を必要とせず、スマートフォンで完結する技術を用いた車両としては初めて、「ひび割れ」と「平たん性」の両項目で性能確認試験に合格しました。
従来技術の課題と「GLOCAL-EYEZ」の革新性
近年、AI技術の進歩やDX化の流れを受け、スマートフォンやドライブレコーダーを活用した路面点検技術が開発されています。しかし、従来の技術では、「ひび割れ率」や「平たん性」といった重要な指標を定量的に算出することが困難でした。そのため、道路管理者による利用価値が限定的でした。
「GLOCAL-EYEZ」は、東京大学との共同研究で開発され、スマートフォン1台で高精度に管理指標を測定できる技術を実現しました。長年の研究開発を通じて、一般車両や簡易装置を用いる際の難しさを克服し、「ひび割れ」「平たん性」を定量的に算出することに成功したのです。
「GLOCAL-EYEZ」の優れた技術
「GLOCAL-EYEZ」は、以下の3つの優れた技術を駆使しています。
1. 車両前方画像から鳥瞰図に変換する技術
車両内に設置したスマートフォンで撮影した前方画像を、真上から見た画像(鳥瞰図)に変換する技術です。高度な変換ロジックにより、鮮明な(1mm以上のひび割れが識別可能)鳥瞰図に変換できるとともに、切れ目なく連続的な路面展開図を得ることができます。路面点検の専用車両に搭載されているラインスキャンカメラの画像に劣らない品質を持って、様々な自治体に成果物として提供されています。
2. 舗装調査・試験法便覧に準拠したひび割れ率の算出、および劣化予測技術
鳥瞰図変換から取得した路面の連続展開図に、機械学習処理を適用することで、「舗装調査・試験法便覧」に準拠したひび割れ率を評価することができます。この技術は、令和2年度関東地方整備局のマッチング事業を通じて開発された成果です。
さらに、パトロールで収集した高品質な時系列路面画像を解析することで、ひび割れの進展やポットホールの発生を早期予測する手法も開発されています。これらの新技術により、従来の事後対応型のメンテナンスから予防保全型のメンテナンスへ転換し、道路損傷による瑕疵事故を未然に予防するほか、LCCの観点から維持管理費用の最適化にも貢献していきます。
3. 車両動揺解析による路面凹凸の高精度推定技術
車両動揺を振動理論に基づいて解析することにより、路面凹凸の管理指標であるIRIや平たん性を高精度に評価できます。同じ道路を走行したとしても、車両ごとに揺れが違います。そのため車両の動特性の違いを補正し、車種等を跨いで高い精度と再現性でIRIや平たん性を求める技術が必要です。「GLOCAL-EYEZ」は東京大学が開発した特許技術を利用し、自由走行時の動揺データから車両モデルを自動的に同定します。当該特許技術はこれまで異なる車種の2台の車に搭載され性能確認試験に参加し、いずれも合格しました。
「GLOCAL-EYEZ」の展開実績と開発予定
「GLOCAL-EYEZ」は2021年8月のリリース以降、国内の20以上の自治体や国道事務所で有償導入に至りました。国土交通省の地方整備局が実施するマッチング事業においては試行を通して従来技術より優れると評価されております。
さらに、「GLOCAL-EYEZ」は現在、中国、ウズベキスタン、オーストラリア、ドバイといった国々でも採用されており、その技術力は世界中で認められています。
今後、「わだち掘れ」の定量評価技術も開発して、「GLOCAL-EYEZ」に取り入れることで、路面性状を表す3要素に基づいた路面維持管理指数の「MCI」を算出することを計画しています。
「簡易な装置から厳密な結果へ」「パトロールのデータから点検へ」という目標へ向け、「GLOCAL-EYEZ」のさらなる技術改良・研究開発に取り組むとともに、「GLOCAL-EYEZ」の社会実装により道路維持管理の高度化と効率化を推し進めてまいります。
株式会社スマートシティ技術研究所について
株式会社スマートシティ技術研究所は、インフラ維持管理分野における最先端の研究成果を社会に還元することをミッションに、2019年に設立された東京大学発のベンチャー企業です。主力事業である道路点検DXシステム「GLOCAL-EYEZ」のコア技術は、代表取締役社長の趙博宇(チョウ ヒロタカ)が東京大学社会基盤学専攻博士後期課程にて開発したものです。趙博宇は、本技術開発を通して、東京大学工学系研究科長賞、文部科学大臣表彰(技術開発部門)を受賞した実績を持っています。
会社情報
- 会社名
-
株式会社スマートシティ技術研究所
- 住所
- 東京都文京区向丘2丁目3−10東大前HiRAKU GATE, 402号室
- 電話番号
-
03-6283-0885