脱炭素社会を後押しする新素材「HLMET」
ネクストコアテクノロジーズ株式会社は、脱炭素社会の実現に向けて新たな一歩を踏み出しました。2024年内に量産を目指すのは、世界初の高飽和磁束密度(Bs)かつ低鉄損のコア材「HLMET(ヘルメット)」です。今後、顧客企業への提供を2025年から本格的に開始する予定です。
HLMETの特長と利点
HLMETは、電磁鋼板と同等の飽和磁束密度を保持しつつ、低鉄損性能を兼ね備えています。これにより多様なモータの小型化や高出力化が実現可能であり、電力損失を従来のモータと比較して約70%も削減できる省エネルギー効果が期待されています。
従来の課題を克服した技術
高Bs低鉄損材は、これまで多くの企業が開発を試みてきましたが、そのほとんどはナノ結晶構造による性能向上のため、脆さが課題となり実用化には至りませんでした。しかし、HLMETは金属組織制御技術を駆使してナノ結晶よりもさらに微細な約0.1nmの結晶前駆体レベルまで微細化を達成しました。この技術革新により、従来必要だった結晶化熱処理工程を省略し、より効率的な製造が実現されました。
複数の分野への応用
HLMETは家電や電気自動車(EV)だけでなく、工場オートメーションや次世代の空モビリティにまで広がる可能性があります。これにより、低回転域から高トルクが求められる様々なモータへの採用が見込まれています。
企業理念と今後の展望
ネクストコアテクノロジーズは2022年に設立されたスタートアップで、持続可能な地球を目指して高効率モータの研究開発に励んでいます。脱炭素社会の実現に向け、革新的なアモルファスモータコアの開発を進めると共に、社会への実装を目指しています。表面にとどまらず、持続可能な未来を築くための取り組みを続けていくとのことです。
このように、新たな高Bs低鉄損コア材「HLMET」の誕生は、環境に優しいエネルギーの利用をさらに進化させ、未来のモータにも革命をもたらす可能性を秘めています。