医療教育に新風!AIが築く医師と患者の対話生成の未来
株式会社OPQRST(本社:東京都渋谷区)が、医学生や研修医向けの学習コンテンツ提供に注力しています。この度、同社は千葉大学医学部附属病院と協力して実施した研究について、2025年6月27日(金)に開催された日本メディカルAI学会にて発表しました。発表された研究は「診断名からの医師-患者対話生成における比較研究:直接生成と臨床ビネットを介した段階的生成の評価」と題され、取締役である横川大樹助教が主導しました。
この研究では、医師と患者の対話文をどのように作成するかに焦点を当てています。特に、病名をもとにそのまま対話を生成する「直接生成」と、診断名を基に一度ストーリーを挟む「ビネット経由生成」の2つの手法を比較しました。
研究の背景と重要性
医学の教育において、医師と患者の対話は重要な学びの一環です。対話教材は質の高い教育を提供しますが、作成には時間と労力がかかるため、AIを用いた自動生成の必要性が高まっています。今回の研究では、AIがどのようにして質の高い対話文を生成できるのか、その効率や精度について探ることが目的とされています。
主要な成果
研究の成果は、多くの眼を引く物となりました。主なポイントを以下にまとめます。
1.
生成速度の違い:直接生成は容易さとスピードに優入していますが、ビネット経由生成はスピードに欠け、その分生成にかかるコストが上昇しました。しかし、医師と患者の対話においては、学生が必要とする情報を提供するためには多少の損失は許容されることもあるでしょう。
2.
臨床情報の質:ビネット経由生成では、身体所見や検査結果などの臨床的な情報が豊富に含まれるため、対話の質が高まります。この観点からも、実際の診療現場においては臨床ビネットを介した生成方法が有用であることが示されています。
3.
機械的な評価と人的評価の乖離:両手法の生成物間において、機械的な類似度は高値を示したものの、人的評価との相関が低いことも分かりました。これは、AIによる自動生成と専門家の視点における評価が異なることを示しています。
4.
各手法の利点の評価:ビネット経由生成は高精度ですがコストが高く、直接生成はより効率重視であることが確認されました。
今後の展望
この研究は、AIによる自動生成が教育や診療トレーニングにおいて有望であることを示唆しています。特に臨床的な詳細が必要な場面ではビネット経由生成が、迅速な教材作成が求められる場合には直接生成が有益である可能性があります。
OPQRSTの取り組みは、今後の医療教育における重要な一歩となるでしょう。AI技術が発展する中で、医師と患者の対話がどのように進化していくのか、今後の展開に注目が集まります。