事業承継の新しい課題
株式会社記録と記憶が発表した『ファミリー企業 事業承継白書2026』によると、事業承継時の最大の難題は税務や法務ではなく「人」に起因していることが示されています。経営者たちは、承継に際して直面する最大の試練が「社員の求心力の維持」であると認識しており、この調査は822名のファミリー企業の経営層と管理職を対象に行われました。
調査の背景
調査を実施したのは、マーケティング支援と物語コンテンツ制作を行う株式会社記録と記憶です。近年、70歳を超える中小企業経営者の多くが後継者を持たないという現実が存在しており、そのため事業承継は多くの企業にとって緊急の課題となっています。そのため、事業承継の成功は、従来の手続きの枠を超えた「人の動き」にあるのではないかという視点から本調査が行われました。
主な調査結果
調査結果から以下の重要な知見が得られました。
1.
承継の主戦場は「手続き」ではなく「人」
経営者405名が挙げた事業承継における最大の苦痛は、「社員の求心力・モチベーション維持」で、割合はなんと45.9%に達しました。これは、次に多い「税務・法務手続き」(25.4%)や「組織体制の再編」(23.7%)を大きく上回る数値です。顧客や取引先の信頼維持も重要な課題ですが、上位は明らかに人に関連する問題に集中しています。
2.
経営者の「想い」が途切れる瞬間
経営者から課長までを対象にされた調査によると、経営理念や責任感の理解度が階層を下るにつれて鈍化し、特に本部長と部長の間では22ポイントの開きが確認されました。このデータは、経営層の想いが組織内部でどのように伝承されるかに注視すべきであると肝に銘じさせます。
3.
伝達ギャップの存在
経営者のうち89.6%が「自社の理念が伝わっている」と考えている一方で、部長層でその理解度はわずか26.1%と、実際には大きな乖離が生じています。これは特に、経営者が「もう伝わっている」と思い込んでしまうことが、承継期における盲点であると指摘されています。
コメント
株式会社記録と記憶の取締役COO、甲斐博一氏はこの調査結果について、「当調査は、承継の最大の苦労が法務や税務ではなく『社員の求心力』にあることを明確に示しました。経営者が自らの理念が伝わっていると感じても、実際には部長層に届いていないことが次の課題です。」と述べています。このように、事業承継は単なる資産の移転や後継者の選択だけでなく、人と物語と戦略が共存する機会でもあるのです。
企業の成長に向けて
記録と記憶は、事業承継後の成長支援にも注力しており、今後もファミリー企業が円滑に承継を行えるようサポートを続けていく方針です。社員と経営者の間のコミュニケーションを強化し、「社員の求心力」を高める取り組みが、成長する企業の根幹となるでしょう。
調査結果の詳細は
こちらで確認できます。調査概要についても記載されており、興味のある方は是非ご一読をお勧めします。