家庭内の温度管理が健康を守る
近年、交通事故よりも深刻な家庭内の温度差による健康リスクが注目を集めています。特に、住宅内で発生する熱中症やヒートショックによる死亡事故が増加しており、その実態は非常に深刻です。実に、熱中症の発症の38%が住宅内で起きており、家庭でのヒートショック死は交通事故による死者数の2倍以上を記録しています。
このような状況を受けて、一般社団法人 日本住宅リフォーム産業協会(ジェルコ)中部北陸支部では、健康寿命を延ばすための「断熱の力」に関する無料セミナーを開催することになりました。このセミナーは2025年9月7日、大口町民会館で行われます。参加者には、室温と健康の関係についての知見を深めてもらうことが目的です。
高齢者を襲う見えないリスク
家庭内の温度差による事故は、見過ごされることが多いですが、それがもたらすリスクは年々大きくなっています。特に、高齢者にとって、浴槽での溺死や、和室や玄関の僅かな段差による転倒などが発生しやすい環境となっています。実際、段差による転倒死の約74%が同一平面内、すなわち家庭内で起こっています。これらの事故の背後には、寒さによる筋力や神経機能の低下、温度差による血圧や心臓への負担が存在します。
「断熱=健康」の理由
住宅の断熱性能と住居者の健康状態との関連性については、多くの調査が行われています。その結果、室温が18℃未満の住宅に住む人々は、血圧や心電図、コレステロール値に悪影響を及ぼすことが分かりました。また、室温が18℃以上の環境では転倒事故が減少し、高断熱住宅に改修したことで血圧が有意に低下したという報告もあります。暖かい住居に住む人は、自立した生活を維持する期間が平均3年長いことも確認されています。
国際機関である世界保健機関(WHO)も、室温18℃以上を健康の基準と定めており、住環境の温度管理は「快適性」の問題を超え、「命を守るインフラ」としての重要性を持つことが明白になっています。
無料セミナーで命を守る住まいづくりを学ぶ
こうした背景を鑑み、一般社団法人 日本住宅リフォーム産業協会(ジェルコ)中部北陸支部は、『住まいが寿命を左右する!熱中症もヒートショックも防ぐ「断熱」の力』というテーマでの無料セミナーを開催します。このセミナーでは、慶應義塾大学名誉教授の伊香賀俊治氏を講師として迎え、住まいの環境と健康、寿命との関係について、国内外の研究成果を基に分かりやすく解説されます。
講師プロフィール:伊香賀 俊治氏
伊香賀氏は、健康と建築の関連性を研究し、特に高齢者の健康リスクや住環境とQOLに関する研究を多く行ってきた専門家です。国土交通省や厚生労働省の委員を務め、現在は「健康長寿住宅」推進の第一人者として全国で講演を行っています。
セミナーの詳細
- - 日時: 2025年9月7日(日) 10:00〜11:30 (受付開始 9:40〜)
- - 会場: 大口町民会館 2階 町民ホール
- - 参加費: 無料 (事前予約制)
- - 主催: 一般社団法人 日本住宅リフォーム産業協会(ジェルコ)中部北陸支部
- - 後援: 愛知県丹羽郡大口町
- - 予約: こちらから または電話0587-51-0080 (株式会社ラ・カーサ・江南店)
まとめ
住宅内の温度管理は、健康だけではなく、命にも関わる重要な問題です。家庭内の温度差を理解し、改善することが自分と家族の健康を守る第一歩です。大口町でのセミナーに参加し、みんなでこの重要な問題を学び、認識を高めましょう。