アートとビールの新たな出会い
2024年4月にオープンした北海道白老町の「brew gallery(ブリューギャラリー)」が、開業から1周年を迎えました。このアートギャラリーはコンテンポラリーアートを中心に、地域との接点を築くことを目指して運営されています。
特に注目すべきは、同ギャラリーに併設されているクラフトビール醸造所「The Old Grey Brewery」とのコラボレーションです。今回、3名のアーティストの作品が、同醸造所のクラフトビール缶ラベルに採用されました。この取り組みは、アートの価値が商品に繋がり、地域社会への還元を目指した新しい試みです。
採用された作品とアーティストたち
今回、アート缶ラベルに選ばれたアーティストは、田中彰、相川みつぐ、大西洋の3名です。いずれのアーティストも白老町にゆかりがあり、過去1年間に個展を行った実績があります。
田中 彰(たなか しょう)
岐阜県出身の田中は、自然と人の関係をテーマに木版画を制作。2022年から白老町に定住し、2024年にはギャラリーで個展を開催します。
相川 みつぐ(あいかわ みつぐ)
千葉県出身の相川は、人と自然の関係を寓話的に描くスタイルで知られています。壁画や装画に加え、2024年にはギャラリーでの個展が予定されています。
大西 洋(おおにし よう)
東京都出身の大西は、イラストレーターとしても活動。彼の作品は雑誌や広告に数多く掲載されています。
クラフトビール缶とアートデザイン缶
採用されたビールは、オロオロ・ブラック(シュバルツ)、ホロホロ・サンセット(ウィーンラガー)、シロユリ(ヴァイツェン)の3種類です。それぞれのビールは、レギュラーデザイン缶とアートデザイン缶の2種類で販売されます。アートデザイン缶は通常缶より30円高く設定されていますが、その差額は地域の文化芸術や環境活動に充てられる予定です。
1.
オロオロ・ブラック(シュバルツ)―スムースな飲み口が特徴で、白老町のオロオロ山にちなみ名付けられました。
2.
ホロホロ・サンセット(ウィーンラガー)―モルティで後味すっきりなビール。白老町のホロホロ山をイメージしています。
3.
シロユリ(ヴァイツェン)―柔らかな味わいが特徴で、ドイツのビアスタイルを採用しています。
この取り組みは、アートとクラフトビールが融合し、地域の文化を育む新たな誕生を意味しています。また、今後の展開として、作家たちが創作活動を通じて地域社会との散発的なつながりを生む機会を創出することも視野に入れています。
文化とコミュニティの架け橋
brew galleryは単なる展示スペースではなく、地域の文化やコミュニティが交わる場としての役割を担っています。クラフトビールはその意味においても、新しい人と人、地域とアートをつなぐ重要なメディアとなるでしょう。
白老町の魅力
白老町は、自然豊かで温泉や縄文文化など多様な観光資源を持つ地域です。また、2020年にはウポポイがオープンし、注目を集めています。この町の魅力を生かしたアートとビールのコラボレーションは、今後の産業や文化活動への大きな一歩となることでしょう。地域の創造性を重視し、地域住民やアーティストの発信の場として今後も発展することを期待しています。