アイヌ民族文化財団がフィンランド国立サーミ博物館と協定再締結
2024年11月7日、札幌市に位置する公益財団法人アイヌ民族文化財団は、フィンランドのイナリにある国立サーミ博物館SIIDAとの間で40年ぶりの連携協定を再締結しました。この連携は、先住民族の文化を振興し普及するために設けられ、多岐にわたる分野での協力を目指しています。
連携の意義
協定は、両団体が1984年に結んだ姉妹提携宣言に基づいており、その後の歴史を踏まえて改めて調印されたものです。これからは職員の相互交流や共同研究、成果の展示、出版物の交換、相互の施設のプロモーションなど、さまざまな活動を通じて互いの文化を深めていく計画です。
特に注目すべきは、双方の博物館が小規模な施設から始まり、40年の時を経て国を代表する先住民族の文化機関として成長を遂げた点です。この新たな連携を通じて、未来の世代への文化交流がさらに進んでいくことが期待されています。
歴史的な交流の振り返り
アイヌ民族文化財団の前身である旧アイヌ民族博物館とSIIDAの交流の始まりは1984年に遡ります。フィンランドから来たサーミの代表団が式典に参加し、その模様は現地のラジオ局で放送され、両者の結びつきを強めるきっかけとなったのです。1980年代から90年代にかけて、両団体間での講演やイベントが行われ、絶え間ない交流が続きました。
1998年にSIIDA博物館が開館した際には、アイヌ民族の舞踊が披露され、その後の展示や特別展を通じてさらに文化的な連携が深まることになりました。
新しい時代の連携
2018年、旧アイヌ民族博物館は新たに公益財団法人アイヌ民族文化財団として再編され、2020年には新たな施設「ウポポイ」が開業しました。このような変化を受けて、2021年からは連携協定の締結に向けた連絡が始まりました。2022年にはSIIDAも国立コレクションを加えて再オープンし、今後は新しい協力を通じて双方の文化の振興が期待されています。
SIIDAについて
SIIDAは1960年代に設立され、1988年に博物館として開館しました。この施設はサーミの文化と自然を紹介する場として、北ラップランドの観光拠点ともなっています。また、近年はリノベーションを経て、2022年には再オープンを果たし、多くの新しいコレクションが加わりました。2024年には欧州博物館賞も受賞し、更なる注目を集めています。
このように、アイヌ民族文化財団とフィンランド国立サーミ博物館の新たな連携は、先住民族文化の振興に向けた大きな一歩です。今後も両者の協力によって、文化的な理解と交流がより一層深まることが期待されます。