企業の脱炭素経営をサポートする「ZERO PC」との協業の進化
エシカルパソコン「ZERO PC」を展開するピープルポート株式会社が、日本GX総合研究所と連携し、パソコン回収サービスを通じた温室効果ガス(GHG)削減効果の可視化を始めました。この取り組みは、企業がパソコンのリユースによってどれほどのGHG排出量を削減したかを定量的に把握できるため、脱炭素経営への道を大きく切り開くものです。
協業の背景
近年、企業はサプライチェーン全体におけるGHG排出量削減を求められています。特に、IT機器の製造に伴う排出は大きな課題とされており、各企業が具体的な対策を模索しています。日本では、2022年から上場企業に対しCO2排出量や削減目標の情報開示が義務化され、環境情報の「見える化」が急務と言えます。
パソコンの製造には豊富なエネルギーと資源が消費されます。したがって、調達や廃棄のプロセスが企業の脱炭素経営に深く結びついていることは明白です。
ピープルポートはこれまで、不要なパソコンを企業や個人から回収し、整備した上で「ZERO PC」として再生・提供する活動を行ってきました。創業以来、約19トンの電子廃棄物削減に成功し、それに伴うGHG削減にも寄与しています。この成功の鍵は、リユース可能な部品の徹底的な再利用、必要最小限の新品部品の活用、再生可能エネルギーの100%利用にあります。こうした取り組みにより、「環境負荷ゼロ」と「電子ごみ削減」という二つの目標が両立しています。
協業の概要
今回の新たな協業において、日本GX総合研究所はLCA(ライフサイクルアセスメント)手法を用いて、ピープルポートの回収サービスによるGHG削減の効果を計測します。具体的には、廃棄処分した場合とピープルポートによる回収を比較し、製造・輸送・使用・廃棄といった全過程で発生するGHG排出量を分析。これによって、リユースがもたらす削減効果が明らかになります。この解析は国際標準(ISO 14040/14044)に基づき、信頼性の高いデータを提供します。算定された結果は、パソコン回収サービスを導入する企業に提供され、企業は自社のパソコン処分によるCO2削減の効果を具体的に把握できます。これにより、CSRやESGレポート、温室効果ガスの管理にも活用が可能になります。これまで見えにくかった「廃棄から再利用への切り替えによる削減効果」が明確化されることで、脱炭素経営の取り組みを社内外に効果的に示すことが可能になります。
今後の展望
ピープルポートは本プロジェクトを契機に、さらなるGXソリューションの拡充を目指します。そして環境インパクトの「見える化」を進めることで、企業の行動変革を促し、脱炭素経営の具体的な実践を支援します。また、算定された削減量を環境価値としてクレジット化し、企業間取引やカーボンオフセットに活用する新たなビジネスモデルの構築も視野に入れています。これにより、パソコンのリユースが単なる「廃棄削減」にとどまらず、企業のGX推進を支える戦略的な選択肢になってくれることを期待しています。今後も、パートナーや独自の取り組みを通じて、資源循環とGX推進を両立させ、持続可能な社会の実現を目指して挑戦していきます。
関係者のコメント
日本GXグループ株式会社 共同代表取締役 細目 圭佑
"私は、MEBUKU by Vlag yokohamaで、ピープルポート社の成長をサポートしてきました。この中で、同社がZERO PCで‘廃棄’という課題に取り組む姿を見て、強く共鳴しています。この協業を通じて、より多くの企業が循環型のモデルに参加する機会創出を期待しています。"
株式会社日本GX総合研究所 共同代表取締役 鳥井 要佑
"GHG排出削減における資源循環は、企業のGX推進において不可欠なテーマです。ZERO PCはその実践を示しており、本協業でその環境価値を定量的に測れることは重要な意義があります。"
ピープルポート株式会社 代表取締役社長 青山 明弘
"私たちは『環境負荷ゼロ・難民ゼロ』を理念に活動してきました。今回の協業を通じて、廃棄の影響を可視化し、その削減効果を示すことができるのは非常に嬉しいです。これからも脱炭素経営への貢献を続けます。"