M2MとIoTの未来を拓くMQTTの重要性
インターネット上には、私たちの生活やビジネスを支える多種多様な技術がありますが、近年特に注目されているのがM2M(Machine to Machine)やIoT(Internet of Things)の通信技術です。その中心となるのが、軽量でシンプルなメッセージングプロトコル「MQTT」です。
MQTTは、特に低帯域や信頼性の低いネットワーク環境でのデバイス間のメッセージ通信を効率的に行うために設計されています。OASISにおいて標準化が進められているこの技術は、端末同士がリアルタイムにデータをやり取りする場合において、非常に大きな威力を発揮します。例えば、家庭内のスマートメーターから取得した電力消費量のデータを、他の機器に迅速に送信することが可能になります。
特に注目すべきは、MQTTが採用するパブリッシュ/サブスクライブモデルです。この方式により、1対1だけでなく1対多のメッセージ配信も実現でき、大量のメッセージ交流が求められるM2MやIoTの現場において、その能力を発揮します。また、ヘッダー情報がわずか2バイトで済むため、通信に伴うバッテリーの消費を抑えつつ、迅速な処理が可能です。
新サービス「sango」の特徴
このMQTTを実現するためには、メッセージの送信者である「パブリッシャー」と受信者の「サブスクライバー」の間にメッセージを仲介する「サーバー」が必要です。しかし、サーバーの立ち上げや運用には多くの時間とリソースが求められるのが通例です。そこで登場したのが、株式会社時雨堂が提供する「sango」です。
「sango」は、MQTTを利用する際に必要なサーバーをインターネット上で簡単に利用できる環境を提供します。これまでMQTT専用のサーバーサービスは日本国内で限られていましたが、このサービスは特に個人や小規模なプロジェクト向けに設計されており、業界初の試みと言えるでしょう。ユーザーは、開発や運用に専念でき、すぐにMQTTを実験することができます。
今回、時雨堂は2014年8月29日から「sango」を無料で提供開始します。さらに、将来的には「五百円プラン」を導入し、メッセージの容量増加や、メッセージごとの到達保証レベルの指定ができるようにし、商用利用の場面でも役立つような計画をしています。このプランは、企業の接続検証や実証実験、研究開発に必要な機能を提供することを目指しています。
まとめ
M2MやIoTにおいて欠かせない技術であるMQTT。時雨堂が開発した「sango」は、この技術を手軽に利用する手段を提供することで、個人開発者や企業の新たなプロジェクトの扉を開くことになります。今後の展開が楽しみです。
株式会社時雨堂について
設立:2013年3月
所在地:東京都台東区台東2-10-2竹田ビル4階
代表取締役社長:栁原隆幸
主な事業内容:ネットワークサーバー・クライアントの設計、開発、コンサルティング。MQTTサーバーの研究・開発に注力しています。
詳細は、
時雨堂公式サイトをご覧ください。