熊本の六調子酒造が国際品評会で輝く
熊本県球磨郡に位置する六調子酒造株式会社が、ベルギーのブリュッセルで開催された国際的な味覚品評会「ITI2025」において、ダイアモンド賞を受賞した。この受賞は、同社が製造する「大古酒とろしかや」が蒸留酒部門で評価された結果であり、焼酎の新たな魅力が世界で認識されるきっかけとなった。
ITI2025の凄さ
ITI(International Taste Institute)は2005年に設立された、ベルギーに本拠を置く国際的な味覚認定機関である。審査を担当するのは、著名なシェフやソムリエから構成される200名以上の専門家たち。各種食品や飲料をブラインドテイスティングで評価し、「一ツ星」から「三ツ星」までのランクを決定する。特に、ダイアモンド賞とは、同品評会で「三ツ星」を10年間に7回以上獲得しなければ得られない名誉ある賞であり、六調子酒造の偉業がいかに特異であるかを物語っている。
「大古酒とろしかや」の魅力
「大古酒とろしかや」は、スコットランドの気候に近い条件で熟成される貯蔵庫で作られる焼酎で、米と麦という異なる原料を織り交ぜ、10年以上の長期熟成を経て複雑な味わいを実現している。その風味は、ブランデーを思わせるような豊かな果実感が特徴で、新たな焼酎の境地を開いている。銘柄名には、歴史的な郷土のストーリーが込められており、その名は日本書紀に登場する九州の首長に由来している。
社長の情熱
代表取締役の池邉道人氏は、焼酎業界の現状に長年の間疑問を抱いてきた。多くの人々が「焼酎=安酒」のイメージを持つ中、池邉氏は焼酎の真の価値を見出し、他の世界の名酒たちにも引けを取らない可能性を感じていた。国際的な品評会への挑戦は、その信念を証明するための重要な一歩となった。
池邉氏は、"国内の審査員の焼酎への偏見が強い中で、ITIの厳格な審査基準こそが公正な評価を約束すると信じていた"と語る。彼らが出展してきた経験は、焼酎の名声を高め、ついにはダイアモンド賞という栄誉に繋がった。
日本の文化を世界へ
今回の受賞は、単に六調子酒造の勝利だけでなく、日本の伝統的な蒸留酒である焼酎の可能性を世界に示す重要な契機となった。さらに、日本の麹を使った酒造りがユネスコの無形文化遺産に登録されたことが、焼酎の国際的な評価を高める追い風になると池邉氏は考えている。
「私たちの小さな蔵元が国際舞台で評価されることができたのは、誇りですが、その価値を広めることが最も重要だと考えています」と力強く語る池邉氏。焼酎の素晴らしさを今後も世界に発信していく意欲は衰えない。
会社概要
- - 商号:六調子酒造株式会社
- - 所在地:熊本県球磨郡錦町西1013
- - 設立:1923年
- - 代表者:池邉 道人
- - 事業内容:酒造業
- - URL:六調子酒造公式サイト
今回の受賞を機に、熊本の焼酎文化が再評価されることを期待し、六調子酒造の更なる飛躍を見守りたい。