池井戸潤のミステリー巨編『BT'63』が豪華ハードカバーで復刊
株式会社ハーパーコリンズ・ジャパンが、池井戸潤の人気作品『BT'63』を2025年3月28日にハードカバーエディションとして復刊します。
歴史的背景と物語の舞台
本書は、2003年に朝日新聞社から初版が刊行され、2006年には文庫化された作品です。池井戸潤の特異な視点で描かれたこのミステリーは、昭和38年、東京オリンピック前夜の1963年が舞台です。当時の高度経済成長期の陰に潜む暗い真実を、魅力的な登場人物を通じて描き出しています。
あらすじ
物語の中心は、仕事と妻を失った琢磨です。彼は、母親が一人で暮らす実家に戻り、偶然に見つけた父の遺品に触れた瞬間、幻視を体験します。その幻視は、父が勤めていた運送会社のトラックターミナルの40年前の風景です。
その幻影に導かれるように琢磨は父の足跡を辿り、凄惨な事件の真相へと近づいていくことになります。運送会社で起きた運転手たちの相次ぐ死、そしてそのトラック、名付けられた「BT21号」の呪いの真実は、一体何なのか?
ストーリーは、琢磨が事件を調査していく過程で展開し、過去の呪いと向き合う姿を描きます。そこで明らかになっていくのは、父が死ぬまで封印した重い過去です。この強烈な謎が、読者を物語に引き込み、672ページにわたる息つく間もないスリルを提供します。
魅力的なカバーと挿絵
本書の魅力の一つは、藤田新策氏によるカバーイラストです。人気イラストレーターとして知られる彼が、本作のイラストを手掛けており、昭和38年当時の京浜工業地帯やBT21号の姿が美しく描かれています。また、全12章の扉に挿絵が寄せられており、物語の雰囲気を一層引き立てています。
これにより、ミステリー、クライムノワール、ホラーサスペンスのエッセンスが組み合わさった独特の世界観が楽しめます。
著者のプロフィール
池井戸潤は岐阜県出身、慶應義塾大学を卒業後に作家デビューを果たしました。デビュー作『果つる底なき』で江戸川乱歩賞を受賞した後、多数のヒット作品を生み出しました。特に『半沢直樹』シリーズは多くの人気を集めています。
彼の作品は、常に読者に深い感動を与えるテーマを掲げ、希望と勇気を与えてくれます。
書誌情報
『BT'63』
著者:池井戸潤
定価:2200円(税込)
発売日:2025年3月28日(金)
発行:株式会社ハーパーコリンズ・ジャパン
判型:四六判ハードカバー
ページ数:672
ISBN:978-4-596-72664-3
実に期待が高まる作品の復刊です。池井戸潤の緻密な筆致と、昭和という時代の骨太なテーマに触れつつ、ぜひお楽しみください。