早稲田大学が設立したインパクトVC「WIC」の狙い
早稲田大学が、社会的課題の解決を目指すインパクト投資を行う新たなベンチャーキャピタルファンド「早稲田大学インパクト・キャピタル株式会社(WIC)」を設立しました。この新会社は、2026年を目指して本格的に運営を開始し、テクノロジーの社会実装を加速させることを目指しています。WICの設立は、早稲田大学の掲げる「世界人類への貢献」というビジョンに基づいており、社会的幸福を促進するために、これまでの科学技術重視のアプローチに加えて、人文・社会科学の知見を取り入れた「ディープ・ヒューマニティ」という新しい概念を導入しています。
2050年を見据えた大学のビジョン
早稲田大学は、2050年に向けて「世界人類に貢献する大学」への進化を目指しています。これを実現するために、2022年には「早稲田大学ベンチャーズ株式会社(WUV)」を設立し、社会価値創造を加速させるためのベンチャー企業の支援を行ってきました。WUVでは特に理工系のディープ・テック分野に注力していますが、WICはさらにその一歩を進め、人文・社会科学とテクノロジーを融合させて「社会的幸福」を実現することを目指します。
AI時代における新しい価値観
最近の急速なAIの発展により、人間の経験や感情がより重要視される時代に突入しています。このような変化に対応するためには、技術面だけでなく人間社会そのものの課題を理解し、見直す必要があります。WICの設立は、ただテクノロジーを追求するだけではなく、AIが支配する市場で人間と社会の問題を解決するための新たなアプローチを提供するものです。「ディープ・ヒューマニティ」の考え方に基づき、WICは教育、医療、地域の課題に対して、志のある倫理的経営者とともに取り組んでいきます。
WICの「社会的幸福」とは
WICの目指す「社会的幸福」とは、単なる財務的なリターンではなく、社会全体にポジティブな影響を与えることを重視しています。この「社会的幸福」は以下の4つの要素から成り立っています。
1.
選択の自由 (Optionality) - 誰もが主体的に人生をデザインできる社会を目指します。
2.
貢献機会の公正 (Contributive Justice) - すべての人に公平な貢献の機会を提供します。
3.
共感とリスペクト (Empathy & Respect) - 他者理解と信頼関係を築く環境を作ります。
4.
心の健康と充実 (Mental Wealth) - メンタルヘルスの充実を重要視します。
これらの要素に基づいて投資先を選定し、その社会的影響を評価することで、WICは持続可能な社会の実現に向けての取り組みを進めていきます。
新しい資本主義の実現
WICはインパクト投資の手法を通じて、社会問題の解決を追求し、「良い利益(Good Profit)」の循環を構築する予定です。「良い利益」とは、社会問題の解決によって得られる利益であり、単に財務的な成果を超えた新しい資本主義の形を描くことを目指しています。これにより、WICは持続可能で有益な投資を推進し、早稲田大学の創立精神に基づいた世界への貢献を実現していくでしょう。
早稲田大学インパクト・キャピタル株式会社(WIC) 概要
- - 代表取締役: 大野 聡子 (早稲田大学商学部卒、公認会計士)
- - 設立日: 2025年10月21日
- - 資本金: 1,000万円
- - 株主: WIC パートナーズ有限責任事業組合(70%)、学校法人早稲田大学(30%)
WICは人文・社会科学の知見と技術を融合させて、人類社会の課題解決に寄与する企業を育成することを目指す新たな試みです。