国内初のFMT治験薬製造センターが川崎市に開設
2025年6月4日、メタジェンセラピューティクス株式会社が神奈川県川崎市のキングスカイフロント内に国内初の「FMT治験薬製造センター」をオープンしました。この新しい施設は、腸内細菌叢移植(FMT)を活用した治療方法をさらに進化させるための重要な拠点となります。
FMT治療の新たな扉
腸内細菌叢移植は、健康な人の便から取れる腸内細菌を、疾患を抱える患者の腸内に移植することで、腸内環境を整える治療法です。この技術は近年、様々な疾病に効果を示すことが明らかになりつつあります。メタジェンセラピューティクスは、特に潰瘍性大腸炎に対する経口投与可能なFMT医薬品の研究開発に取り組んでいます。
この新たなセンターでは、腸内細菌の製造と治験薬の生産プロセスが確立されます。2024年6月には国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)から認可を受け、2026年には治験薬の製造を開始する予定です。これは、日本国内のみならず、アメリカ市場も視野に入れたものであり、腸内細菌の持つ力を活用した新たな治療法の可能性を追求しています。
山形県から回収される腸内細菌
この治療法に使用される腸内細菌は、山形県鶴岡市にある「つるおか献便ルーム」で提供される健康なドナーからの便を原材料として使用します。この施設では、ドナーの便から腸内細菌が抽出され、凍結保存された後、川崎市の新しい製造センターに輸送されます。自らの健康をもとに他者を助けることへの願いが込められたこのプロセスは、多くの人々に希望をもたらすことでしょう。
現在、腸内細菌ドナーの募集が進行中で、すでに300名以上が登録し、献便も活発に行われています。メタジェンセラピューティクスは、2025年中に約100名のドナーを認定することを目指しています。
多様な医療事業に向けた展望
メタジェンセラピューティクスは、マイクロバイオームサイエンスを活用した医療や創薬の新たな可能性を追求し続けています。腸内細菌叢移植を基盤とした医療サービス事業や創薬事業を展開し、免疫疾患や中枢神経系の疾患に焦点を当てた研究を進めており、この分野でのソーシャルインパクトを生み出しています。
今後の展開が期待される中、メタジェンセラピューティクスは、日本だけでなく世界中の患者に新たな治療の選択肢を提供するため、不断の努力を続けていくことでしょう。
機関情報
- - 所在地: 〒210-0821 川崎市川崎区殿町3丁目103番9 (キング スカイフロント内)
- - 延床面積: 154.8平米
メタジェンセラピューティクスの動向を注視し、腸内細菌叢の研究から生まれる新たな医療の形に期待しましょう。