昆虫の痛みを探る
2018-06-07 09:43:57

知られざる昆虫の痛みと生態を探る『蜂と蟻に刺されてみた』の魅力

知られざる昆虫の痛みと生態を探る『蜂と蟻に刺されてみた』の魅力



昨今、特に注目を集めているヒアリ。しかし、その痛みは実際にどのくらいのものなのでしょうか?そんな疑問を解決する新刊『蜂と蟻に刺されてみた』が登場しました。本書は、痛みの尺度「シュミット指数」を考案したジャスティン・シュミット博士による探求の成果を集めたエッセーです。

シュミット指数の誕生



シュミット博士は、長年にわたって虫刺されの痛みを科学的に評価してきました。虫刺されの痛さが科学研究の対象になっていなかったことに気づいた彼は、自ら積極的に刺されるという方法を選択しました。痛みの強度をレベル1からレベル4の4段階に設定し、セイヨウミツバチによる刺し傷をレベル2の基準とします。この独自のアプローチは、2015年にイグ・ノーベル賞を受賞するまでに至りました。

彼はなんと、100種類以上の昆虫に合計1000回以上も刺されているという驚きの記録を持っています。彼自身が実際に経験した痛みを元に、ハチやアリの生態に迫るこのエッセーは、単なる事実の羅列ではなく、彼のユーモアと共感が込められた一冊となっています。

歴史的な刺し傷記録



シュミット博士は、ただ単に痛みを記録するだけでなく、その背後にある生態学的意味や進化論的な視点をも取り入れています。昆虫の痛みやその反応に関する知見をユーモラスに綴っており、彼自身の経験も交えながら進行するストーリーは、多くの読者にとって新たな発見をもたらすことでしょう。

面白いことに、ヒアリについては「思ったほど痛くない」という研究結果が示され、シュミット指数でレベル1と評価されています。これは、多くの人が強毒としてイメージしているヒアリに対する誤解を解消する一助となります。実際には、ヒアリはミツバチよりも軽い痛みを持つとされています。

込められたメッセージ



また、シュミット博士はハチやアリの痛みに関する知識を通じて、自然界の生態系についても考えるきっかけを提供しています。彼は「ヒアリは人間が乱した生態系に侵入してくる存在」であると警鐘を鳴らしており、人間と昆虫の関わり方についても深く掘り下げています。

目からウロコの痛み一覧



巻末には、82種類のハチやアリに刺された時の痛みの一覧が掲載されており、各昆虫の特徴や痛みの感覚を知ることができます。例えば、ミツバチとスズメバチは痛みのレベルが同じであることが意外な発見です。また、アリに刺されるときの痛みは場所によって異なることが追記されています。

このユニークな一冊を手に取り、シュミット博士の世界に浸ることで、ハチやアリに対する理解が深まることでしょう。彼のエッセーは、虫刺されに関連する文化や知識を楽しく紹介する内容で、まさに読む価値のある作品です。自らの経験を通じて生まれた痛みの物語を追体験し、虫たちの世界とその生態を新たな目で見るチャンスを提供しています。

本書『蜂と蟻に刺されてみた』は、昆虫に興味がある方だけでなく、生物学や自然科学に興味を持つ全ての読者におすすめの一冊です。ジャスティン・シュミット博士のユーモア溢れる視点で描かれた新しい視野を開くことができるでしょう。今後の読書リストに加えてみてはいかがでしょうか?

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[書籍情報]
『蜂と蟻に刺されてみた―「痛さ」からわかった毒針昆虫のヒミツ』
著者:ジャスティン・O・シュミット 訳:今西康子
四六判上製366頁+カラー口絵8頁 2700円(本体2500円)
ISBN978-4-8269-0202-1
販売情報は次のとおりです:

もし興味が湧いてきたら、ぜひ手に取ってみてください。

会社情報

会社名
株式会社 白揚社
住所
東京都千代田区神田駿河台1-7-7白揚第2ビル3F
電話番号
03-5281-9772

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