スズキが2024年のJ.D.パワー日本自動車初期品質調査で初めて総合第1位を獲得しました。この調査は、新車を購入したユーザーを対象に、その車両の不具合や使い勝手などを評価するもので、今年で14回目の実施となります。これまでに多くの自動車メーカーが参加しており、レクサスなどのラグジュアリーブランドもしばしば上位にランクインしていますが、スズキがこの位置に来ることは特異な結果です。
2024年の結果によれば、スズキは132PP100(100台当たり132箇所の不具合の指摘数)というスコアで、全ブランド中最も少ない不具合を指摘されました。これは、スズキが品質向上にかけた努力の賜物とも言えるでしょう。一方で、ラグジュアリーブランドのレクサスは149PP100で、依然として良好な結果ではあります。
今回の調査結果を見てみると、全体的な不具合指摘数は152PP100で、前年の151PP100からあまり改善が見られませんでした。特に、車両設計に関する指摘が多く、分かりにくさや使いづらさが主要な問題点として挙げられています。具体的には、使用者が「壊れている」と感じる製造品質に関する不具合は31.8PP100と少ないものの、使い勝手の指摘は117.8PP100に達しました。これは、現代の車において設計面の改善が急務であることを示しています。
特に、インフォテインメントシステムについては、調査対象の9カテゴリの中でも不具合指摘が最も多く、31.2PP100という結果が出ています。これは、年々需要が高まるAndroid AutoやApple CarPlayなどのスマートフォン連携機能が、ユーザーからの不満を引き起こしていることを示唆しています。実際、これらの機能を利用するユーザーは、非利用者に比べて不具合を多く指摘している傾向にあります。
消費者にとって重要な燃費についても、若干の不具合指摘が増加傾向にあります。「燃費が悪すぎる」という意見が、2021年の調査に対して増えていることから、物価上昇や燃油価格の影響で実感として悪化を感じているユーザーが増えていることがうかがえます。
一方で、しばしば不具合指摘が多かった自動運転機能の警告については、最近改善傾向が見られています。安全技術が進化する中で、利用者のストレスを軽減する方向に進んでいるのかもしれません。
スズキの特徴的なモデルがいくつかのセグメントでも高評価を得ており、軽セダンでは「アルト」、軽ハイトワゴンでは「ハスラー」が上位に名を連ねています。これらの車両は、手頃なサイズ感とデザイン性の高さから人気を集めており、品質意識の高さも評価に寄与していると考えられます。
今回の調査結果は、自動車メーカーにとって改善点を見つけ出すための貴重なデータです。特にスズキにとっては、品質向上のためのさらなる努力が期待されます。2024年の結果は、ユーザーからの信頼を勝ち取るための重要なステップであると言えるでしょう。