不登校から医師へ、医療を中心とした街づくりの挑戦
元引きこもりでありながら、医療法人の3代目理事長として地域医療に新しい風を吹き込んでいるのが、矢野裕典氏です。本記事では、彼のこれまでの道のりと、どのようにして医療を基盤とした街づくりに取り組んでいるのかを深掘りします。
幼少期からの葛藤
矢野氏は、誰もが羨む医療法人の3代目として生まれましたが、中学以降は周囲の期待と自らの現実との間で苦しむ日々が続きました。引きこもりがちになってしまい、社会との接点が次第に希薄になりました。しかし、彼は負けずに大学の医学部へ進学しました。ここでも引きこもりから抜け出せず、在籍期間はなんと13年。最終的には4回目の挑戦で医師国家試験に合格し、研修医となったのです。
新たな道、介護職へ
医師としての道を歩む中で、彼は自分が本当に医療に何をもたらせるのかを模索していました。さまざまな経験を経て、医師から介護職に転身します。この経験が、彼のその後の活動に大きな影響を与えることになります。
洛和会ヘルスケアシステムの構築
京都を拠点に、矢野氏は新たに「洛和会ヘルスケアシステム」の理事長に就任しました。ここで彼は、医療と介護、保育といった分野を統括し、地域住民のニーズに応えるための多角的なサービスを展開しています。弱者目線の改革を目指し、見捨てられることのない、すべての人が安心して生活できる街の実現を目指しています。
「落ちこぼれおぼっちゃま」の逆襲
矢野氏は、自身を「落ちこぼれおぼっちゃま」と称します。この言葉には、彼の挫折や葛藤が詰まっています。その経験を背景に、彼は「弱者を生まない地域社会」を目指し、実用的かつ持続可能な医療体制の構築に尽力しています。これは単なる医療提供にとどまらず、地域全体を見据えた総合的な取り組みです。
医療法人の未来に向けて
矢野氏は、医療法人の経営において、社員や地域の人々との信頼関係を重視しています。療養環境の向上や福利厚生の充実を通じて、「福利厚生日本一の医療機関」を標榜しています。その姿勢が実を結び、病院広報アワード2024で大賞を獲得するなど、高い評価を受けています。
終わりに
矢野裕典氏の挑戦は、単なる医療現場の改革に留まらず、地域社会全体を巻き込んだ壮大なプロジェクトへと成長しています。この熱意を多くの人々に知ってもらうことができれば、さらなる理解と共感を呼び起こすと確信しています。彼の著書『地域医療と街づくり 京都発!「日本の医療が変わる」経営哲学』は、多くの人にとっての指針となるでしょう。