職場ハラスメントの実態
2021-03-18 13:00:04
職場でのハラスメント認識のギャップと課題の解明
職場でのハラスメント認識のギャップと課題の解明
近年、多くの職場でハラスメントが問題視されていますが、実際にはどのように認識されているのでしょうか。最近の調査では、職場におけるハラスメントについて、被害者の認識と加害者の認識に大きなギャップが存在することが判明しました。
調査の背景
今回の調査は、職場のメンバーによるハラスメント言動について、周囲の認識と加害者当人の認識を比較しました。調査は二部構成で、被害者側と加害者側双方の視点から実施されました。具体的には、過去6カ月間におけるハラスメント行動についての実態を問う形で進められました。
調査結果の概要
調査結果によると、周囲のメンバーは職場内でのハラスメントが存在することを311件確認しましたが、自身が加害者であるという認識は22.2%に留まりました。言い換えれば、約4分の1の人が自らの行動がハラスメントに該当する可能性を認識していないのです。
特に認識されているハラスメント言動には、皮肉や冗談に関するものや、陰口を言う行為が含まれており、これらは法的にもグレーゾーンとされがちですが、実態としては明確に問題視されています。
年代と職位による違い
調査結果は年代別にも分析され、30代の前半が職場のハラスメントへの認識が最も高いことが判明しました。逆に60代前半では認識が低く、歳を重ねるにつれて意識が鈍っていく傾向が見られます。また、職位別に見ると、主任や係長層が最も高い認識を持っており、役員クラスになるとその認識が低下することが確認されています。
このことから、上司や役員になると、周囲のハラスメントへの認識が低くなりがちであることが改めて浮き彫りになりました。
企業の規模と職種の観点
企業の規模によってもハラスメントの認識は異なります。小規模企業ではハラスメント事態が少なく、自覚する機会も限られていますが、それに対して中規模以上の企業では周囲の認識が高くなる傾向があります。
さらに職種別での分析も行われ、製造・生産職がハラスメントの被害に遭ったとする認識が高い一方で、管理職に自分が加害者であったとは認識しにくいことも示されました。これにより、実際には未然にリスクを回避できる場面が多く存在していると考えられます。
健全な職場づくりに向けて
この調査は、職場のハラスメントの認識において存在するギャップが、問題の深刻化を招いていることを示しています。したがって、ハラスメントの認識を高めることはもちろん、自己認識を持ち、周囲の状況に目を向けることが重要です。今後、法律や制度の理解を深めること、また自己内省の機会を設けることで、健全な職場環境を築いていくことが求められます。また、労務行政研究所と筑波大学はこの結果を踏まえ、ハラスメントの認識に関するさらなる調査分析の実施を予定しています。
会社情報
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一般財団法人 労務行政研究所
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