AWSジャパン、旭川高専と富山高専と連携
アマゾン ウェブ サービス ジャパン(以下、AWSジャパン)は、地域創生を促進するためのデジタル人材およびAI人材の育成に向けて、旭川工業高等専門学校(旭川高専)および富山高等専門学校(富山高専)との包括連携協定を結びました。この取り組みは、日本のデジタルトランスフォーメーション(DX)が進む中で、特にデジタル技術とAIに関する人材不足が深刻化している現状を踏まえたものです。
デジタル人材育成の背景
経済産業省によると、2040年にはAIやロボット技術を扱う人材が326万人不足するとの試算が出ています。AWSの調査でも、日本企業の68%がAIを扱える人材を必要としているにもかかわらず、82%がその確保に苦労している実態が明らかになっています。この状況を打破し、政府の「デジタル田園都市国家構想」を実現するためには、高度なITスキルを持った人材の育成が不可欠です。
特に、高等専門学校(高専)は、実践的な技術教育を通じて地域産業のニーズに応える重要な役割を担っています。現在、日本にある58校の高専には、5万人以上の学生が在籍しており、その卒業生の多くが都市圏に流出しているため、地域のDX推進に必要な人材が不足しています。
AWSジャパンと高専の連携
今回の連携では、AWSジャパンが最新のクラウド技術やAI教育を提供し、旭川高専と富山高専を通じて地域で活躍できるデジタル人材を育成します。具体的には、以下の4つの分野での取り組みが予定されています。
1.
実践的な教育支援に関する努力
AWS AcademyやAWS Skill Builderを通じて、クラウド技術に関する研修や教育プログラムが提供されます。特に、数理・データサイエンス・AI教育プログラムが認定され、実践的なスキルを身につける機会が増えます。
2.
教育モデルの全国展開
確立した教育方法やノウハウを全国の高専に展開し、AIに関する教育の質を向上させることに努めます。
3.
インターンシップ機会の提供
実践的な体験を通して、学生は技術を学び、地域課題の解決に向けたスキルを磨きます。AWSの体験型イベントや職業体験プログラムを通じて、実践力を養います。
4.
共同事業の推進
地域のデジタル化プロジェクトへの学生の参画や共同研究、産学連携を通じた技術開発が行われ、地域創生に向けた具体的な行動が促進されます。
期待される成果
この連携の取り組みは2025年度から順次開始され、3年間で100名以上のデジタル人材を育成することを目指します。最終的には、育成された人材が地域のデジタル化の推進役として活躍し、地域の創生に貢献することが期待されています。
教育機関の指導者たちも、この連携によって地域の特性に合わせた教育モデルが進化し、産業界への応用が進むことに期待を寄せています。
旭川高専の校長、矢久保考介氏は、AWSとの協力によって学生が最先端の技術を学べることを強調しています。一方で、富山高専の校長、國枝佳明氏もこの取り組みによって地域課題解決能力を備えた人材が育つことを期待しています。
まとめ
AWSジャパンによる高専との連携は、地域特性に合ったデジタル人材の育成だけでなく、地域社会そのものの活性化に寄与する重要なステップです。デジタル化が進む現代社会において、地域から次世代の技術者を育てることは、持続可能な開発と地域創生に向けた鍵となるでしょう。これからの取り組みに注目が集まります。