霧島酒造のデジタルトランスフォーメーション(DX)成功事例
はじめに
芋焼酎「黒霧島」で知られる霧島酒造は、長い歴史を持つ企業ですが、近年のライフスタイルの変化に伴い、業務のデジタル化が急務とされています。そこで、同社は米国Claris社のローコード開発プラットフォーム「Claris FileMaker」とiPadを駆使して、業務効率化とデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進すべく新たな取り組みを始めました。2025年3月27日には、その成果をまとめた事例ビデオも公開され、多くの関心を集めています。
DX導入の背景
霧島酒造では、2019年から続く市場縮小の影響を受けて、事業の持続可能性を高めるために、社内アンケートを実施したところ、デジタル化の遅れが明らかになりました。このため、2022年4月に「DX推進本部」を設立し、以下の3つの柱を立てました。
- - あじわいDX:製販プロセスの改革
- - くつろぎDX:顧客体験の向上
- - ひとづくりDX:従業員体験の向上
導入前の課題
焼酎製造の一環として、焼酎粕のリサイクルプラントでは、手書きでの点検記録管理や紙ベースのデータ転記が行われており、作業が煩雑でした。デジタルカメラで撮影した画像の管理も手間がかかり、結果として転記ミスや情報の漏れが頻発していました。これらの業務を効率化するために、現場担当者はツール選定を開始しました。
ツール選定の理由
このような現場の課題を解決するため、現場担当者は複数のノーコード・ローコード開発ツールを比較しました。その結果、Claris FileMakerの操作性やコストパフォーマンスの良さ、内製の容易さと拡張性が評価され、採用に至りました。
導入効果
1.
報告作成業務の効率化 ー iPadを使用し、現場でのデータ入力から写真登録、報告書作成までを完結させられるようになりました。
2.
作業ミスの低減 ー 手書きからデジタル化することで、転記ミスが減少し、作業工数も約25%削減されました。さらに、確認依頼のメール送信機能の設置により、通信ミスも減少しました。
3.
異常の早期発見 ー 入力した数値がしきい値を超えている場合に色付けされる機能を実装し、その場で異常値を認識できるようになりました。
4.
ペーパーレス化と情報検索性の向上 ー 膨大な紙帳票を必要とせず、検索性が向上しました。過去のデータの分析や比較もスムーズになり、業務効率化が進みました。
5.
異物混入リスクの回避 ー 電子化により、製造ラインにおいて紙やペンを持ち込む必要がなくなり、安全性の向上に寄与しています。
6.
新商品開発のサイクル改善 ー 酒質管理部では、味わいデータのデジタル化を進め、iPhoneを通じて品質評価のデータを迅速に管理しています。
全社的なDXの展開
このような成功を受け、Claris FileMakerは全社を通じたDX推進の共通ツールとして採用され、10を超える部署での活用が進んでいます。霧島酒造のDX推進本部主任、財津将平氏は、「局所的なツールの乱立を避け、全社的に業務効率化が進んでいることが実感できる」と述べています。
まとめ
霧島酒造の取り組みは、現場主導のアジャイル開発とDXの成功モデルとして、多くの企業にとっての好例だと言えます。この事例ビデオには、彼らの取り組みがどのように進んでいるかが詳しく紹介されています。
詳細な取り組みとビデオは
こちらからご覧いただけます。