吉開菜央監督の新作『Shari』がロッテルダム国際映画祭で公式選出
吉開菜央監督の新たな作品『Shari』が、世界最大級の映画祭であるロッテルダム国際映画祭に公式選出されるという快挙を成し遂げました。この映画祭は、毎年世界中から多彩な作品が集まる場所であり、特にインディペンデント映画のプロモーションを重要視しています。『Shari』は短・中編部門に選ばれ、日本からは僅か3作品のみが名を連ねました。この映画の初お披露目は、日本国外での特別なオンライン上映を通じて行わました。
映画の誕生背景
『Shari』は、北海道知床半島の斜里町で行われたプロジェクト「写真ゼロ番地 知床」から生まれた作品です。このプロジェクトは、写真家の石川直樹を中心に、地域の人々と共にその魅力を発信することを目的にしていました。アーティストの吉開は、このプロジェクトに参加し、短編映画の制作を引き受けました。これが彼女にとって初めての長編映画制作の挑戦となり、公式選出されたことは大きな意義を持ちます。
吉開菜央の多様な視点
監督の吉開は、米津玄師のミュージックビデオへの出演や、カンヌ国際映画祭への招待など、多彩な活動を行っています。彼女の作品は、個人的な経験や感情を元に、様々なメディアで表現されています。『Shari』もその一環で、斜里町の住民へのインタビューや視察を通じて生まれた疑問や発見を反映したドキュメンタリー的な要素を含んでいます。映画は、監督の視点から語られ、現実とフィクションの狭間を行き来しながら、観客に深い感動を与える作品に仕上がっています。
特別な映像表現
また、石川直樹が撮影した映像は、計算された美しさだけでなく、偶然の要素も含んでおり、2020年の斜里町の人々の生活を温かく描写しています。このユニークな映像表現は、審査員たちの心をつかみ、『Shari』の選出理由となりました。ロッテルダム国際映画祭からは、「探索的なダンスや映像の要素が、独自の形で地域を描く魅力的な作品」と評価され、高い期待を寄せられています。
地域社会との結びつき
「写真ゼロ番地知床」の実行委員も、この映画制作において重要な役割を果たしました。彼らは、斜里町の魅力を広く伝えることに情熱を持ち、映画制作が彼らにとって新たな挑戦として機会を提供しました。それぞれの参加者が持つ視点が集まり、斜里町という土地の多様性と美しさを映し出す作品に仕上がっています。
上映情報
映画『Shari』は、札幌を皮切りに全国各地で特別上映が決定しています。映画祭での公式選出後、吉開監督自身が観客に対して、「ぜひ観にきてください」と呼びかける姿勢が、多くの観客の心を打つことでしょう。地域の魅力と、映画制作の苦労が詰まった一本の作品として、この『Shari』がどのように受け入れられるのか、期待が高まります。コロナ禍という厳しい条件下での上映ですが、地域との結びつきを強調した作品が、どのように共鳴していくのか注目です。最新の上映スケジュールは公式ウェブサイトで確認できます。
公式ウェブサイト:
Shari Movie