バルダ、ショパンで魅せる
2024-06-26 11:27:48

“神秘のピアニスト”アンリ・バルダ、再びサントリーホールに降臨!5年ぶりのオール・ショパン・プログラムで魅せる深淵の響き

“神秘のピアニスト”アンリ・バルダ、再びサントリーホールに降臨!



フランスで“神秘のピアニスト”と称されるアンリ・バルダが、5年ぶりにサントリーホールに帰還する。同世代のピアニストたちからの賞賛を一身に受けるものの、実際にその演奏を聴いた者は少ない…そんな風説から、バルダはフランス本国で“神秘のピアニスト”とも呼ばれている。

今年83歳を迎えたバルダは、ミュージシャンズ・ミュージシャンと呼ばれるほど、同業者の羨望を集める音楽家だ。日本でも、バルダの魅力に魅入られたピアニストは数多い。前回のショパンコンクールで頭角を現した伊藤順一のように、パリでバルダに師事したピアニストはもちろん、来日したバルダのもとを訪ねるピアニストもまた後を絶たない。ピアニストたちが恋い焦がれる、あの音を再び聴ける日が近づいてきた。

ユダヤ系フランス人のバルダは、1941年にエジプト・カイロで生まれた。16歳でパリに渡り、その後ジュリアード音楽院で学ぶためニューヨークへ。三つの大陸の文化をその身に宿すバルダの初来日は1981年。NHK交響楽団とショパンの協奏曲第2番を演奏した。

近年、サントリーホールや東京芸術劇場といった大舞台での公演が続くバルダだが、そのきっかけとなったのが2019年12月の東京文化会館大ホールで開催したオール・ショパン・プログラム。2000席を優に越す客席を埋め尽くす聴衆に対して、バルダのショパンは極めて私的に響いた。1対2000ではなく、1対1の音による対話が2000通り生まれるような親密さ。鳴り止まないカーテンコールと、閉館時間を過ぎても途切れないサイン会の列は、その晩のコンサートの成功と共に記憶されている。ちなみに記事中の写真は当夜のもので、日本クラシック界におけるトップ・カメラマン故・林喜代種氏が撮影したものだ。

その次の来日公演は2021年の夏。コロナ禍の東京にバルダはやってきた。万全を期して都内のアパートで2週間の隔離期間を過ごすうちに80歳の誕生日を迎えた(グランドピアノも設置してある、パリのアパルトマンのようなその部屋もまた、日本の古くからのピアノ仲間が用意したものだった)。サントリーホールにて東京交響楽団と共演したラフマニノフの第3番は、歴史的な名演といっても過言ではなく、世界が断絶された只中、東京でこのような存在感を示した演奏家は極めて数少なかった。

そしてこの夏、バルダは再びサントリーホールに登場する。日本では5年ぶりとなるオール・ショパン・プログラムを携えてやってきたバルダは今、聴衆にどう語りかけるのか。チャーミングさと無愛想が入り混じった笑顔をカーテンコールで見せてくれたら、その日のコンサートはその場にいた者たちにとって忘れられないものになるだろう。期待は尽きない。

第20回イマジン七夕コンサート



アンリ・バルダ ピアノ・リサイタル

2024年7月7日(日) 14:00開演(13:30開場)
サントリーホール大ホール

オール・ショパン・プログラム

幻想曲 へ短調 Op.49
即興曲第1番 変イ長調 Op.29
舟歌 嬰ヘ長調 Op.60
ピアノソナタ第2番「葬送」 変ロ短調 Op.35
バラード第1番 ト短調 Op.23
ノクターン第3番 ロ長調 Op.9-3
ピアノソナタ第3番 ロ短調 Op.58

*ライブ録音あり

チケット:

S席 ¥7,000
A席 ¥5,000
B席 ¥3,000

コンサートイマジン 03-3235-3777(10:00~18:00/日祝休)
サントリーホール 0570-55-0017(10:00~18:00/休館日除く)
チケットぴあ https://t.pia.jp/ [Pコード:255-376]
e+(イープラス) https://eplus.jp/
アンリ・バルダの演奏は、まさに“神秘”という言葉がふさわしい。彼の演奏は、技巧の高さはもちろんのこと、そこに込められた深い感情や思想が聴く者を圧倒する。ショパンの楽曲を通して、バルダはどんな世界観を表現してくれるのか、今から楽しみでならない。

特に注目したいのは、今回のプログラムに含まれる「ピアノソナタ第2番“葬送”」。ショパンの晩年の傑作であり、悲壮感と深遠な美しさに満ちた作品だ。バルダは、この作品をどのように解釈し、演奏してくれるのだろうか。彼の深みのある音色と、繊細なタッチによって、ショパンの音楽が新たな輝きを放つのではないかと期待している。

バルダは、単に音符を奏でるだけでなく、音楽を通して観客と対話しているように感じる。彼の演奏は、聴く者の心を揺さぶる力を持っている。今回のコンサートでは、バルダの音楽が観客の心にどのような影響を与えるのか、ぜひ注目したい。

また、バルダが83歳にしてなお、精力的に演奏活動を続けていることにも敬意を表したい。年齢を重ねても、音楽に対する情熱を失わず、新たな挑戦を続ける彼の姿は、私たちに大きな感動を与える。バルダの演奏を通して、音楽の力、そして人生の素晴らしさを改めて感じることができるだろう。

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