行動経済学の新たな視点
行動経済学は人間の心理や行動の非合理性を明らかにし、今日の複雑な社会問題への解決策を探る学問です。著者の橋本之克氏が著した『世界最前線の研究でわかる スゴい!行動経済学』は、この学問の新たな可能性を開いています。1月24日に発刊される本書では、心理学と経済学が交差する地点で見える行動パターンが、どのように私たちの日常生活や社会に影響を与えているのか、詳細に解説されています。
不合理な選択の背後にあるもの
多くの人が抱える「もったいない」という心理。それは、不要だと思いつつ捨てられない物への愛着によって引き起こされます。また、非常ベルが鳴っても周囲の動きがないと避難しないといった、危機的状況における不合理な判断も存在します。これらの行動は、効率や利益の観点から見ると理解できませんが、人間の感情や社会的な絆が深く関わっています。
現代に求められる行動経済学の知識
効率重視の社会から、人間中心の社会へのシフトが進む中で、行動経済学は新たな価値を提案しています。著書では、老後年金の問題やプラットフォーム企業のモラル、サブスクリプションサービスの普及、シェアリングエコノミーの成長を阻む要因など、私たちが直面している多岐にわたる現代の問題を掘り下げています。
- - 老後年金2000万円問題: この問題が引き起こしたさまざまな論争の中で、実際に得をする人々の視点を考察しています。
- - GAFAに求められるもの: 大手プラットフォーム企業が利益追求だけでなく、道徳的な側面も考慮する必要性についても触れています。
- - シェアリングエコノミー: その成長を妨げる要因や、なぜ一部の人々が不正を働くのかといった課題が論じられています。
- - フリーランサーの心理: 自由を享受しつつも、その枠から逃れられないフリーランサーの複雑な思考に迫ります。
現代の若者の心理
また、ユーチューバー志望の子どもたちの心理や、長期的な借金を背負わせる新築住宅購入時のマインドコントロールについても言及しています。これらは、現代社会における消費行動や価値観形成の重要な一端を担っています。
経済学賞受賞学者に与えた影響
本書では、米国のノーベル経済学賞受賞者が日本の書道家・相田みつをを愛した理由を探ります。人間の感情や文化が経済行動にどのように影響を与えるのか、興味深い視点を提供しています。
橋本之克氏のプロフィール
橋本氏は、東京工業大学を卒業後、大手広告代理店でのマーケティング経験を経て、様々な業界で長年にわたりコンサルタントとして活動してきました。著作としては、行動経済学をテーマにした書籍が多く、高い評価を得ています。
新たな視点で人間の行動に迫る本書は、私たちの生活や社会に一石を投じる内容が詰まっています。発刊を機に、この新しい知識を私たちの生活にどう活かすか、一度考えてみませんか?