カイロスロケットで50キロ超小型衛星「TATARA-1」打ち上げ!軌道上サービス実証試験も実施
テラスペース株式会社とスペースワン株式会社は、共同で開発した小型ロケット「カイロスロケット」2号機を用いて、50キロ級超小型衛星「TATARA-1」を打ち上げることを発表しました。打ち上げは2023年12月14日に、和歌山県にあるスペースポート紀伊から行われる予定です。
今回の打ち上げは、単なる衛星の打ち上げにとどまらず、
「軌道上サービス」の実証試験を目的としています。具体的には、
「人工衛星軌道投入サービス」と
「ホステッドペイロードサービス」の2つのサービスを試験的に提供します。
国内初!「人工衛星軌道投入サービス」の実証
「人工衛星軌道投入サービス」は、ロケットから分離された超小型衛星を、さらに
別の軌道に投入するサービスです。従来のロケットでは、衛星をある程度の軌道にしか投入することができませんでしたが、このサービスにより、より多様な軌道ニーズに対応することが可能になります。
例えば、複数の衛星を異なる軌道に投入したり、特定の地域をより詳しく観測するための軌道に投入したりすることができるようになります。これは、今後増加が見込まれる超小型衛星や、衛星コンステレーション計画にとって非常に重要な技術となります。
「TATARA-1」には、このサービスの実証のために、キューブサット用放出機ポッドが搭載されています。軌道上でこのポッドを動作させ、複数の衛星を異なる軌道に投入する技術を実証します。
宇宙用部品の実証に役立つ「ホステッドペイロードサービス」
「ホステッドペイロードサービス」は、企業や研究機関から依頼を受けた宇宙用部品や材料、デバイスなどを「TATARA-1」に搭載し、軌道上での実証実験や運用を行うサービスです。
宇宙ビジネスの拡大に伴い、宇宙用部品の軌道上での実証や運用ニーズは高まっています。しかし、従来は、自社で衛星を開発して部品を搭載する必要があり、時間とコストがかかっていました。
このサービスでは、企業や研究機関は、自社の部品を「TATARA-1」に搭載することで、比較的低コストで軌道上実証を行うことが可能になります。
「TATARA-1」には、醍醐寺塔頭菩提寺から依頼を受けた「宇宙寺院劫蘊寺」や、JAXA追跡ネットワーク技術センターが開発した衛星レーザ測距(Satellite Laser Ranging/SLR)用小型リフレクター「Mt.FUJI」など、複数の機器が搭載されています。これらの機器を通して、宇宙用部品の軌道上での性能や耐久性などを検証していきます。
より身近な宇宙を目指して
テラスペース株式会社とスペースワン株式会社は、これらの軌道上サービスを通して、「宇宙をより身近に」というビジョンを実現することを目指しています。将来的には、年間1回以上の頻度でこれらのサービスを提供していく計画です。
「より早く」「より簡単に」軌道上サービスを提供することで、宇宙ビジネスのさらなる発展に貢献していくことを目指しています。