新たなプラスチック資源循環の取り組み
ライオン株式会社と雪印メグミルク株式会社が、プラスチックの資源循環を実現するための共同プロジェクトを発表しました。両社は、雪印メグミルクの宅配サービスで使われる「びん商品のキャップ」を回収し、再生プラスチックとしてライオンの日用品容器に活用する仕組みを構築します。この取り組みは、2026年の商品化を目指してすでに始まっています。
取り組みの背景
近年、プラスチックの使用過多とその不適切な処理が環境問題の大きな要因となっています。このため、企業には製品のライフサイクル全体に責任を持つことが求められています。リサイクルを促進するためには、プラスチックの「使用」「回収」「再生」「再利用」といった適切な取り組みが不可欠です。日本でリサイクルされるプラスチックの約55%が食品包装に関連しているため、これを異業種の製品に生かすことで、さらなる環境貢献が期待されています。
プロジェクトの概要
2024年2月から、両社は雪印メグミルクの宅配サービスの「びん商品」から回収したキャップを再生プラスチックとして利用するための検討を進めてきました。雪印メグミルクでは、顧客からのびん容器を回収し、それらを洗浄して何度も再使用しています。従来、キャップのリサイクル先は限られていましたが、新たな方法の開発に取り組むことで、再生プラスチックとしての利用価値を高めていく方針です。
ライオンは「LION Eco Challenge 2050」という目標を掲げており、2030年までに石油由来のプラスチック使用を70%以下に削減することを目指しています。そのために、雪印メグミルクとの提携により、質の高い再生プラスチックの確保に努めます。
回収から再生までのフロー
雪印メグミルクでは、販売店で宅配商品を回収し、顧客には軽く水で洗って返却してもらいます。キャップは従来の植木鉢やゴミ箱の材料として再資源化されていましたが、今後は日用品容器の原料として重要な役割を果たします。回収後、びんは工場で洗浄・再使用され、キャップは破砕処理を経て、再生プラスチックへと加工されます。
一方、ライオンは、雪印メグミルクから供給されたキャップを利用し、ペレット状のプラスチックへと加工。このペレットからフィルムや袋状のつめかえパックが作られ、最終的な製品として登場します。ライオンでは、質の高い容器を維持するために、量と品質のバランスを重視した設計を行い、技術力を活かして新たな容器開発に挑戦しています。
今後の展望
ライオンは、プラスチックの使用量削減と再利用を進め、社会全体での取り組みが資源循環型社会の実現に不可欠であると考えています。雪印メグミルクも環境負荷の低減に向けた施策を推進し、持続可能な社会の実現に向けて取り組んでいます。
双方の企業が手を結び、業界の枠を超えた協力により、新たなサステイナブルな未来を切り拓いていく姿勢が期待されます。これらのプロジェクトは、持続可能な地球環境へと向かう大きな一歩となるでしょう。