勤労者の報酬満足度と金融教育の重要性についての調査結果
2025年の春闘では賃上げが継続的に実施されており、経済全体の成長戦略が期待されています。しかし、実際に勤労者がどれだけ報酬に満足しているのか、その実態はどうなのでしょうか。三井住友信託銀行が設置した「三井住友トラスト・資産のミライ研究所」(ミライ研)は、全国1万人を対象に独自のアンケート調査を実施しました。
調査の背景と方法
2025年1月に実施されたこの調査では、全国の18歳から69歳までの勤労者7,609人を対象に金銭的報酬の満足度が調査されました。本調査の結果、勤労者全体の21.6%が報酬に「満足」と回答した一方で、33.5%は「不満」を抱いていることが明らかになりました。
年代別の満足度傾向
年齢層別で見ると、18~29歳の若年層は満足度が高く、特にこの層の「満足」の割合が「不満」を上回っています。しかし、年齢が上がるにつれて満足度は低下し、60代ではさらに顕著な減少が見られました。これは、昇給が期待されている若者と、既に経済的な安定を求める高齢者の期待の違いを反映しているかもしれません。
年収と報酬満足度の関係
年収別に見ても、報酬の満足度は1,000万円まで上昇する傾向があります。ただし、年収1,000万円以上になると、満足度は横ばい状態になります。この段階で「非常に満足」と感じる人の割合は増加していますが、全体的な満足度が上昇しない理由は何かを考察する必要があります。
報酬満足度と家計行動
満足度が高い勤労者は、ライフプランを計画したり、金融リテラシーを持つ割合が高くなっています担当者の報酬への納得感は、単なる金額だけではなく、人事評価や業務内容など多岐にわたる要因が絡んでいるのかもしれません。この調査から、金融リテラシーが報酬満足度に与える影響も見逃せません。
金融教育の重要性
金融教育がある職場では、報酬満足度の高い人の割合が1.7倍に達することが調査で示されました。特に年収が高い人ほど、教育の影響が強く出ることが分かりました。また、退職金の水準を把握している人は、満足度が1.9倍になることも示されています。これらのデータから、企業は単に賃上げを行うだけでなく、従業員が自らの将来を見据えた行動をとれるような金融教育や退職金の情報提供を行う必要があるともいえるでしょう。
まとめ
今回の調査結果から、勤労者の報酬に対する満足度向上には賃上げだけでなく、個々のライフプランや金融リテラシーの啓発も重要であることが示されました。企業は、報酬の水準を向上させるだけでなく、従業員が自信を持てるような環境を整えることが求められています。未来の家計管理を見据えた取り組みが、満足度を高める鍵と言えるでしょう。