NECのZoom Phone導入の背景
2025年春、日本を代表するICT企業、NECが全社的にZoomのクラウドPBXサービス『Zoom Phone』を導入しました。対象は約11万人の国内従業員で、これにより、電話関連のコストを約7割削減する成果を上げています。この導入は、NECの長期的なコミュニケーション改革の一環として位置づけられています。
NECのコミュニケーション改革
NECは、1899年の創業以来、日本のICT業界をリードしてきました。その中で展開されるコミュニケーション改革では、第一段階として『ロケーションフリー環境』が構築されています。この取り組みの中核を担うのが、Zoom Meetingsであり、遠隔地にいる人ともスムーズにコミュニケーションを取ることが可能です。その後、今回のZoom Phone導入へと進化を遂げました。
COVID-19の影響で従業員がオフィスにいられない中、固定電話に依存する業務の難しさが浮き彫りになり、さらにオンプレミスのPBX設備も保守期限が迫っているという課題が出現しました。これらに加え、AIの時代に向けたデータの蓄積や分析のニーズも高まり、クラウド化が急務となったのです。
Zoom Phone選定の理由
NECは2023年にPBXのリプレイスを開始し、Zoom Phoneを選定した理由はいくつかあります。
1.
音質の優位性: 他社サービスと比較したところ、安定したネットワーク環境での音質はほぼ同様でしたが、不安定な環境下ではZoom Phoneの方が明らかに優れていました。
2.
操作の簡便さ: 直感的なユーザーインターフェースにより、迅速に転送ができ、誤操作を避けられるというメリットがあります。
3.
コスト削減: 初期費用と運用コストを両方とも大幅に削減でき、将来的なデータ活用の面でも経済的です。容量無制限の音声データ保存が可能で、ZoomのAI機能『Zoom AI Companion』も使えます。
大規模導入とその成果
Zoom Phoneの導入にあたっては、NECが全国の拠点でのPBX利用状況を調査し、各部門に担当者を配置しました。このような詳細なニーズチェックを行い、実に約10ヶ月で11万人の移行を完了させました。ゾームの技術サポートも大きな助けとなりました。
Zoom Phone導入以降、固定電話に依存していた業務がスマートフォンからも対応可能となり、管理部門は通話状況をリアルタイムで把握できるようになりました。これにより、社内設備が大幅にスリム化し、電話関連コストは7割削減されました。
将来の展望とAIの活用
現在、NECは『データドリブン×生成AI』という次の段階に進んでいます。リアルタイムコミュニケーションデータを基に既存のストックデータや生成AI『cotomi』と連携し、ナレッジの再構築を目指しています。これは、AIネイティブな働き方として新たな価値創出に期待されています。Zoomとのパートナーシップは、このビジョンを実現する重要な要素です。
まとめ
NECのZoom Phoneの導入は、単なるコスト削減に留まらず、働き方そのものを変革する一歩として注目されています。今後もこの取り組みがどのように進展し、他の企業にも波及していくのか、関心が寄せられています。