FERRAGAMO 2025年秋冬コレクション - ダンスの世界への旅
2023年3月1日、イタリア・ミラノにて、フェラガモが2025年秋冬コレクションを発表しました。このコレクションは、クリエイティブディレクターのマクシミリアン・デイヴィスによって、ダンスの世界をテーマにしてデザインされました。
デイヴィスは、特にドイツの「Tanztheater」(ダンスシアター)に着目し、その衣装や表現手法を探求しています。彼曰く、1920年代のドイツ表現主義舞踏は、自由な表現を求める人々が自分たちの空間をつくろうとする中で生まれたものです。この時代の影響を受けたコレクションは、エレガントでありながらも自由な雰囲気を持ち、日常着としても楽しむことができます。
コレクションの特徴
コレクションには、ストレートカットのシルクスリップにドロップウエストのレースアップリケを施したアイテムや、ムートンのストリップを用いたコラージュが見られます。また、実用的なレザーウェアやテーラリングのディテールも取り入れられており、夢のようなプリントが施されたハンドバッグが目を引きます。これにより、ステージ外の装いが親しみやすい形で再構築されるのです。
デイヴィスは「日常の中に少しだけ不穏な要素を加えることは非常に興味深いアイデアだ」と語ります。この“違和感”は、のちの「Tanztheater」の復興運動にも影響を与えた精神に根ざしています。彼はこの表現を通じて、自由な愛の表現や、その特別な感情を引き出そうとしているのです。
エレガンスと自由の共存
コレクション全体にわたるテーマは、ドイツのシアターにおける「愛と憧れ」「自由とコントロール」「ロマンスと情熱」の感情的な対話です。例えば、ベルト付きのサテンのトレンチコートや、柔らかなカシミアと光沢のあるレザーの組み合わせがそれを表現しています。また、平らに加工されたフェザーやリボンのような茎から伸びるポピーの花は、視覚的にも印象的です。
さらに、1980年代のフェラガモのキャンペーンやアーカイブに見られる花柄が靴に反映されています。オーガンザやレザー、サテンで表現された花々は、アーモンドトウのパンプスやふくらはぎに巻きつけるサンダルのストラップに取り入れられています。また、創業者のサルヴァトーレ・フェラガモのアーカイブからインスピレーションを受けた革新的なシームレスシューズも登場し、未来的なフォルムのウェッジソールが目を引きます。
メンズファッションとアクセサリー
メンズコレクションでは、クラシックなブローグシューズやブーティが新たな解釈で登場します。ジップをツイストしたデザインや、重厚なグレインレザーの質感が加えられています。これにより、伝統的なスタイルが進化し、新しい価値を生み出しています。
また、アクセサリーの面でも革新が見られます。オーガンザの花が施されたイブニングバッグやアイコンバッグ「Hug」は、ボディ全体にベルトを巻き付けた新しいデザインが特徴です。さらに、羽根付きのポーチや秋冬らしいムードを持つワンショルダーモデルもあり、多様なスタイルが楽しめます。
このコレクションは、ダンスというアートフォームを通じて、自由な表現と優雅さを融合させた新しいスタイルを提案しています。今後のファッションシーンにおいても、その影響は大きなものになるでしょう。