プレキャスト板を活用した新基礎工法で災害復興を加速
株式会社野田設計は、南海トラフ地震やその他の自然災害が頻発する中、被災地への迅速な住宅復旧を実現するため、新しい基礎工法を開発しました。この技術は、従来の基礎工法とは一線を画す「プレキャスト板(PCa板)」を用いたもので、従来の木製型枠や鋼製型枠を大幅に削減可能です。これにより、コスト削減だけでなく、環境への配慮も実現しました。
プレキャスト板は、人が簡単に持ち運べる特製の形状に加工され、それを基礎の形状に応じて組み立てることで施工されます。この方法により、大型トラックやミキサー車が通行できない地域でも、地域住民やボランティアの手で基礎工事が可能になるため、被災地での施工が飛躍的に容易になります。また、福山大学との共同開発により、多様な形状のプレキャスト板が実現され、特に大型機械が不要な環境で威力を発揮します。
実際の工法イメージとしては、プレキャスト板が組み立てられ、鉄筋が配置された後、コンクリートが打設されて基礎が完成します。この工法は、仮設住宅が必要とされる非常時の sudden においても、安定した居住環境を提供することに寄与します。
特に、日本は地震大国であるため、過去の大震災を受けて、多くの仮設住宅が求められてきました。しかし、多くの仮設住宅はコンクリートブロックを使用し、居住者のコミュニティとの配慮が不足している場合が多々ありました。その結果、隣接する仮設住宅間での音や振動のトラブルなどが発生し、住民に心理的なストレスを与える原因となっています。
株式会社野田設計の野田社長は「通常、仮設住宅は2年後に解体され、その住宅に避難された方は引越しを余儀なくされます。災害時に求められるのは、そうした仮設住宅ではなく、恒久的に使用できる災害住宅です。今後、このプレキャスト板を備蓄し、地域の災害対策の選択肢の一つとしたい」と述べています。
従来の基礎工法とプレキャスト工法の比較
普通の基礎工法と比較して、プレキャスト工法(商品名:PC=BASE)には多くの利点があります。もちろん、施工する時間も短縮され、大型機械は必要なくなります。今後の日本において、このような新型基礎工法を取り入れることが、地域の過疎化や人口減少といった課題解決にも貢献できる可能性があります。
目標と今後の展望
野田設計は、2025年2月の情報提供開始を予定し、2026年度には本格的な量産を目指しています。特に、被災者向けの仮設住宅や自治体の備蓄、離島への建設に力を入れる考えです。そのため、共同開発を希望するパートナー企業の募集も行っています。
通常の仮設住宅の枠を越え、地域住民が長期間安心して住み続けられるような住宅基礎の提供を目指し、株式会社野田設計は着実に進めていきます。
参考リンク