学生が手掛けた復刊自伝的小説『この女を見よ』
大阪工業大学で知的財産学を学ぶ水野五郎教授のゼミが、破天荒な女性の生き様を描いた自伝的小説『この女を見よ』を復刊しました。この作品は、1926年にモナコで起きたスキャンダラスな事件が題材となっており、当時の実際の出来事を元に元新聞記者である武林文子が赤裸々に綴っています。
70年ぶりの貴重な復刊
『この女を見よ』は、国立国会図書館にも収蔵されていない貴重な書籍です。著作権を学ぶ大学生たちは、なんと1年にわたり、手作業でテキストを起こし、編集からレイアウト、校正、装丁までを行い、ようやく復刊を実現させました。このチャレンジは、ただの復刊に留まらず、学生たちにとって貴重な学びの機会にもなっています。
モンテカルロ事件を軸にした物語
物語の背景には、1926年に実際に起こった「モンテカルロ事件」があります。文子はフランスに渡り、結婚した武林無想庵と共に生活をスタートするものの、経済的な問題に直面します。無想庵の収入が途絶えた結果、日本料理店を営むことになるのですが、その共同経営者との恋愛が思わぬ騒動を巻き起こします。愛憎のもつれが引き起こした銃撃事件は、当時の日本やヨーロッパのメディアを賑わせました。
狂乱の時代のパリの様子
この作品の中では、1920年代のパリで自由、奔放に生きる女性の姿が描かれています。1925年のパリ万博や、「青い鳥」の作者のメーテルリンクなど芸術家たちとの交流、日本舞踊を劇場で披露して好評を博したエピソードなど、華やかなパリでの生活がリアルに再現されています。当時の風俗や文化的背景が詳しく語られ、読者は歴史の中に引き込まれることでしょう。
参加した学生たちの情熱
この復刊プロジェクトは、女子学生を中心としたチームによって進められました。彼女たちは、文子の生き方や作品に大きな影響を受け、それを形にすることに情熱を注ぎました。表紙デザインは、大学の空間デザイン学科の学生が手がけており、ストーリーに登場するシーンやアイテムを取り入れた独自のデザインが特徴です。
書籍の詳細と購入方法
『この女を見よ』は、文庫判の258ページで、価格は1,000円(税込)です。入手方法は、以下の通りです。
- - 水野ゼミの本屋(大阪市北区西天満5-12-16 山口ビル4階 401)
- 月・金/18:30~20:30、土・日・祝/13:00~20:00
- - インターネットのマーケットプレイス「Booth」
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購入ページ
- 「タコシェ」(東京都中野区中野5-52-15中野ブロードウェイ3階)
- 「マルジナリア書店」(東京都府中市片町2-21-9ハートワンプラザ3階 A-2)
- 「henn books」(名古屋市中区新栄1-6-3 シャインビル2階)
- 「ネコゼ商店」(愛知県豊橋市駅前大通3丁目118 大豊ビルA1)
- 「ほんの入り口」(奈良市船橋町1番地)
- 「1003」(神戸市中央区栄町通1-1-9 東方ビル 504号室)
- 「風文庫」(兵庫県芦屋市西山町11-6-303)
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オンライン書店「ビーナイスの本屋さん」
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ビーナイス購入ページ
結論
この復刊は学生たちの努力の結晶であり、武林文子の自由で奔放な生き方を知る絶好の機会です。歴史的な背景と個人のドラマが交じり合った素晴らしい作品を、ぜひ手に取って体験してみてください。