福島から東京への新しい物流モデル
王子ネピア株式会社とDNPロジスティクスが、福島県で製造された商品を効率的に東京へ輸送する共同輸送の取り組みを2025年5月中旬から開始することが発表されました。この新しいモデルは、輸送の効率を向上させると同時に、環境負荷の軽減にも寄与する画期的なものです。
取り組みの背景
物流業界は、2024年4月に施行される新たなトラックドライバーの時間外労働の上限規制に直面し、「物流2024年問題」が深刻化しています。この規制により、トラックの輸送力が低下し、人手不足がさらに悪化することで、物流業務が大きな問題を抱えることが予想されています。これに対応するため、DNPロジスティクスは、福島県からの配送トラックの積載率を最大化するためのパートナー企業を模索していました。
王子ネピアと王子物流は、同じく福島県内で製造された大人用紙おむつの配送を担当しています。そのため、彼らは自社の物流効率を高めるために協力する機会を見出しました。実際、2024年12月からは福島から東京への共同輸送の実証実験を行った結果、トラックの運行台数を年60台削減し、CO2排出量を年間で50%削減できる見込みが立ちました。この成果を受けて、両社は正式に共同輸送を開始する運びとなりました。
輸送の流れ
共同輸送のプロセスは以下のように進行します:
1. 王子ネピアの福島工場で大人用紙おむつを積み込みます。
2. 次に、DNPテクノパック泉崎工場で包装資材を積み込みます。
3. その後、DNPグループの関東拠点で荷下ろしを行い、最終的に王子ネピアの江戸川倉庫で荷下ろしを完了します。
輸送の過程では、トラック荷台の前方にネピア商品、後方にDNP商品の積み込みが行われ、効率的な積載を実現します。
環境への配慮
この共同輸送の最大の特徴は、環境への配慮です。トラックの段積ラックを設置し、2段積にすることで限られたスペースを有効活用しています。その結果、福島から東京への輸送に必要なトラックの数が大幅に削減されるだけでなく、CO2排出量も大きく削減されるため、環境にも優しい物流モデルとなるのです。更に、共同輸送において両グループの製品の品質が維持されることが確認されています。
今後の展望
王子ネピアは「人と地球に、ここちいい。」というミッションステートメントの下、商品開発や物流における環境負荷の軽減に取り組み続ける姿勢を示しています。この共同輸送の取り組みは、物流業界が直面している課題に対して新たな道を切り開くものであり、今後の成功が期待されます。物流の効率化と環境保護を両立させるこのモデルが、他の企業にも波及し、より多くのサステイナブルなビジネスプラクティスが促進されることを願います。