物流業界に新たな希望をもたらす丸吉ロジの取り組み
北海道を拠点とする物流企業、丸吉ロジ株式会社は、働き方改革に向けた新たな施策と『物流2024年問題』への対策を講じました。今回、同社はドライバーの年収を12%も引き上げることに成功したのです。この成果は、2つの特筆すべき施策によって実現されました。
1. アコーディオン幌シャーシの導入
ドライバーが最も負担を感じていたのが荷物のシート掛け作業です。従来はこの作業に1~2時間かかっていましたが、丸吉ロジはアコーディオンのように開け閉めできる『アコーディオン幌シャーシ』を導入しました。この新たなシステムの導入によって、作業時間がわずか30秒以内に短縮され、ドライバーの作業負担は大幅に軽減されました。
従業員がこのシステムについて語ると、次のように述べています。「チカラが必要じゃないので、女性もできますし、汗もかかなくていいですね。また、雨が降った際も、このシステムなら干す必要がないので本当に助かります。」
さらに、別の従業員も「2カ所や3カ所への納品があるため、シートの掛けおろしをしなくて済むのがありがたい。納品先でも評判が良いです」とその利点を強調しました。
このアコーディオン幌シャーシの導入は、ドライバーがより安全で効率的に仕事を行える環境を整えるだけではなく、労働環境そのものを根本から改善しています。
2. 丸吉ロジ ワンチーム方式
次に、丸吉ロジは独自の『ワンチーム方式』を導入しました。従来、ドライバーは積み荷の確認や指示などで運転以外の時間が長くなっていましたが、この方式により倉庫スタッフとドライバーが密に連携。これにより、空きトラックへの積み荷準備を事前に完了させ、ドライバーの待機時間を大幅に削減しています。運転に専念できる時間が増えることで、結果的に収入の向上につながりました。
吉谷社長は、この施策について次のように述べています。「物流は社会を支える重要なインフラであり、多くの人が支え合って成り立っています。私たちは、人に優しい仕組みが必要だと考えています。」
この取り組みは、ただ単に業務の効率化を図るだけでなく、持続可能な社会をも目指すものです。この点について、As NIPPON代表の深井宣光氏も「丸吉ロジの施策は、SDGsの目標にも合致しており、業界全体が抱える問題への重要な一歩です」とコメントしています。
物流2024年問題への対策
国土交通省の試算によれば、適切な対策が講じられない場合、2030年までに物流業界の輸送能力が34%不足する可能性があるとのこと。このような深刻な現状を受け、丸吉ロジの取り組みは他の企業にとっても示唆に富んだものであり、業界全体の労働環境改善のモデルケースとなる可能性があります。
まとめ
丸吉ロジの革新的な施策は、運転手の年収向上を実現しつつ、物流業界の持続可能性にも貢献していることが分かりました。今後、他の企業でも同様の取り組みが進むことで、業界全体の魅力向上や人材不足の解消につながることを期待しています。いかにして物流業界が、変革を遂げていくのか、ますます注目が集まります。