鹿児島工業高等専門学校(鹿児島県霧島市)は、2023年6月3日に国土交通省九州地方整備局から感謝状を受け取りました。この感謝状は、同校の学生チームが開発した「消波ブロック模型実験装置」が土木教育の質向上に寄与したことに対するものです。実験装置は、4月29日に行われた「志布志お釈迦まつり」で志布志港湾事務所に貸与され、来場者から好評を得ていました。この実験装置は、鹿児島県志布志市に所在する港湾施設の理解を深めるために貢献したと称賛されています。
消波ブロック模型実験装置の特色は、沿岸に設置されている消波ブロックの効果を体験的に学べる点です。この実験装置は、鹿児島高専が推進するSTEAM教育の一環として、防災をテーマに制作されています。昨年7月20日には長島町での子供向けイベントでも展示され、その様子が南日本新聞社のYoutubeチャンネルで配信されました。この動画は驚異的な人気を博し、公開から2週間で再生数が1000万回を超え、現在では2000万回再生に迫っています。
今回の「志布志お釈迦まつり」では、訪れた子供たちが実際に装置を操作し、波を起こすことで消波ブロックの効果を楽しみながら学びました。これは教育活動として非常に意義のある体験であると評価されています。消波ブロック模型実験装置は、国土交通省主催のイベントやSDGs防災フェスティバル、さらには大阪・関西万博の「高専未来チャレンジ」など、様々なイベントにも出展されています。
この実験装置の開発には、学生チームが講義の一環として防災意識の向上に寄与する教育ツールの必要性を感じたことがきっかけでした。彼らは身近にある土木構造物に目を付け、消波ブロックの効果を示す装置のアイデアを育てていきました。具体的には、消波ブロックの設置現場の視察や設計コンサルタントからの学びを経て、装置の制作に取り組みました。
この装置の設計にあたっては、持ち運びやすさと身近な材料を利用することが重視されました。そのため、市販の衣装ケースを使用した容器と、コンクリートパネルから切り出した造波板を採用。防潮堤部分は3Dプリンタで製作し、消波ブロックはモルタルを用いて30個以上作成されました。
製作に参加した学生の一人、𠮷川さんは、感謝状受賞の喜びを語りながら、模型が教育ツールとして高く評価され、多くの反響があったことに感謝の意を示しました。さらに、彼は今回の経験が鹿児島高専の名を広め、防災意識の向上に貢献する一助となることを目指しています。
今回の受賞は、同校の教育的な取り組みが着実に地域社会に影響を与え始めている証拠でもあります。学生たちが切磋琢磨し、地域に根ざした活動を通じて、さらなる成長と貢献を続けていくことが期待されています。学校の指導教員も、学生たちの成果を高く評価し、引き続きの努力を称賛しています。
鹿児島高専は、地域貢献の一環として教育や技術開発支援に積極的に取り組んでおり、学生たちは地域社会との共生を目指して日々努力を重ねています。今後のますますの活躍が楽しみです。