2026年春暁歌舞伎特別公演が楽しみ
来春、2026年3月7日から25日まで、中村勘九郎と中村七之助を中心とする中村屋が、全国11カ所で行う「春暁歌舞伎特別公演」が待望されている。今回の公演では、観客とのインタラクティブなトークコーナーでスタートし、「艶紅曙接拙(紅翫)」と「墨塗女」の2演目が披露される予定だ。これにより、伝統的な歌舞伎の魅力をより身近に感じてもらえる。
二人の思い
取材に応じた勘九郎は、特別公演が22年目を迎えるにあたり、観客の熱心な支えが続けられる理由だと実感していると語った。特に、地方での公演が東京の歌舞伎座や名古屋、博多座などを訪れるきっかけになっていることに嬉しさを覚えている。また、歌舞伎初心者でも楽しめる工夫が続けられていることこそが、この公演の意義であると感じている。
一方、七之助も長年続けてきた公演が意味のあるものだと日々感じているようで、トークコーナーでは観客との交流が楽しみであると期待を膨らませている。地域の特性を生かし、演目の説明をしながら、観客からも逆に質問を受けたりする中で、アットホームな雰囲気を演出していきたいと考えしている。
演目の詳細
艶紅曙接拙
この演目では、実在の商人であり多趣味な「紅翫」を中心に、様々なキャラクターが登場する。主役の紅翫を演じるのは中村いてうで、他にもさまざまな物売りや町娘が登場し、富士山のふもとの浅草を舞台にした一幕となっている。
勘九郎は、紅翫のユーモラスな性格と多くのキャラクターとの絡みをみどころとして挙げた。また、当時の風物詩を感じることができる新しい体験になるとのこと。
墨塗女
続いて紹介された「墨塗女」は、歌舞伎役者による上演が実に77年ぶりであるとして、観客からの期待も大きい。大名・万之丞が愛妾の花野に引き留められる様子が、コミカルに描かれる。また、万之丞の役を演じる勘九郎、花野を演じる七之助と、久しぶりに3人が同じ場面で度々登場することが特に強調された。
七之助は、「花野」という役の複雑な心情を演じる難しさを語りつつ、そこに感じるやりがいについても触れた。観客には楽しくも、考えさせられる作品になるであろうと期待を施した。
公演情報
この特別公演は、全国11カ所において行われる。日程は次の通りだ。
- - 3月7日(土):府中の森芸術劇場
- - 3月8日(日):練馬文化センター
- - 3月10日(火):アクトシティ浜松
- - 3月11日(水):刈谷市総合文化センター アイリス
- - 3月13日(金):大田区民ホール・アプリコ
- - 3月14日(土):水戸市民会館
- - 3月15日(日):相模女子大学グリーンホール
- - 3月20日(金):高槻城公園芸術文化劇場
- - 3月21日(土):J:COM北九州芸術劇場
- - 3月22日(日):鳥栖市民文化会館
- - 3月25日(水):リンクステーションホール青森
お問い合わせや詳細については、公式ホームページをご覧いただきたい。ファンの皆様には、ぜひ劇場を訪れ、新しい歌舞伎の魅力を体感してほしい。
取材・文/藤野さくら 撮影/福岡諒祠(株式会社GEKKO)