住友林業が新たに木造混構造の社宅を開発
住友林業株式会社が新たに設計・施工した6階建ての社宅が茨城県つくば市に完成し、2024年6月1日から利用が開始されます。この新しい社宅は、建設コストの削減や工期の短縮を実現するために、平面混構造を取り入れています。木造と鉄筋コンクリート造(RC造)の組み合わせにより、独自の耐火構造部材を用いており、それによって中大規模木造建築の技術を実践的に示すモデルケースとなっています。
木造混構造の特長
新しい社宅の特徴は、堅牢性と経済性。建物全体の水平力は中央に位置するRC造に集中させることで、地震や強風に強く、低コストでありながら高い強度を誇ります。また、木造部分は負担を軽減するために設計されており、構法の改良によって梁の高さを削減しつつ、天井高も確保されています。特に、日建設計と共同開発した「合成梁構法」を初めて採用しており、木造梁の剛性を高めると同時に、振動を抑えた快適な居住環境を実現しています。
環境への配慮
さらに、住友林業では、建物全体のカーボン排出量を削減する取り組みも行っています。OneClickLCAを用いた設計によって、エンボディドカーボンを可視化し、より環境に優しい材料の使用を促進しています。この社宅では、322立方メートルの木材を使用しており、その炭素固定量は40年生のスギ約878本に相当します。これにより、住環境に木材のぬくもりを加えつつ、持続可能なスペースを提供しています。
社員の健康への配慮
住友林業は社宅内で木材の特徴が社員に与える心理的および生理的影響を調査中であり、「筑波研究所」が主導するこの研究は、木材の質感や香りがどのように心身に良い影響を与えるかを探求しています。2025年からは、床の硬さや温湿度、社員の心理状態をデータとして検証する予定です。これにより、木材の良さを定量的に評価し、心身の健康促進を図ります。
持続可能な建築の未来
今後、住友林業は不動産開発において中大規模木造建築の普及を推進し、環境負荷の低減に向けた様々な取り組みを行っていきます。建設業界の職人不足に対しても、現場作業の合理化を進め、高品質な木造建築の提供を目指します。2030年までの長期ビジョン「Mission TREEING 2030」に基づき、さらに多くの木の魅力を生かした物件の提供を行っていく予定です。
物件概要
- - 所在地: 茨城県つくば市みどりの2丁目31-4,5,6
- - 主要用途: 共同住宅、店舗、事務所(1階はサテライトオフィス・店舗等、2~6階は住居)
- - 総戸数: 46戸(シングル1K:41戸、ファミリー2DK:5戸)
- - 敷地面積: 2,825.53 ㎡
- - 構造・階数: 鉄筋コンクリート造+木造・地上6階
- - 着工・竣工: 2024年5月着工・2025年5月末竣工
住友林業の新しい木造混構造社宅は、持続可能性や経済性を両立させており、今後の住宅建築の在り方に新たな視点を提供する重要なプロジェクトとなるでしょう。