株式会社ファンケルは、鳥取大学と共同で安全性と鮮やかさを兼ね備えた赤紫色の無機顔料「CaCoGe2O6」と「CaCoSi2O6」を開発しました。化粧品業界では、美しい色を実現するために一般的に合成色素(タール系色素)が使用されますが、これらの成分はアレルギーの原因となることがあります。ファンケルはその課題を解決すべく、肌に優しい無機顔料の採用を進め、さらに新たな色鮮やかさを目指して研究を行ってきました。従来の無機顔料に比べて、開発した新顔料は安定性と安全性を保持しつつ、鮮やかで美しい発色を実現しました。
研究の背景と目的
ファンケルは、合成色素を使用せずに肌に優しい無機顔料を用いた化粧品開発に取り組んできました。無機顔料は安定性と安全性に優れていますが、色がややくすんで見えることが課題でした。そこで、安全で鮮やかな発色を持つ成分を開発することを目指し、輝石構造を基にした新しい顔料の開発に着手しました。
輝石構造の利用
今回の研究では、輝石構造に注目しました。この構造は、熱や光に強く、組成によってさまざまな色を表現することができます。ファンケルは、人体や環境に無害な元素で構成された「CaMgGe2O6」を基に、新たな赤紫色無機顔料を探索しました。結果として、マグネシウムをコバルトに置き換え、1200度で焼成することで、鮮やかな赤紫色「CaCoGe2O6」の合成に成功しました。しかし、ゲルマニウムは化粧品での使用例が少ないため、ケイ素を使用した「CaCoSi2O6」の合成にも成功しました。
色の測定と結果
化粧品に広く使われている赤色系の無機顔料と新たに開発した「CaCoGe2O6」「CaCoSi2O6」の色の評価にはLab表色系を用いました。色の鮮やかさ、明るさを測定した結果、開発した無機顔料は既存の赤色系無機顔料を超える鮮やかさと高い赤色度を持つことが確認されました。
研究員の声
ファンケルの化粧品研究所の片岡菜緒氏は、肌に優しい化粧品の重要性を強調し、この新しい顔料はより鮮やかな色を楽しむための解決策となることを期待しています。彼女は、メイクを楽しむすべての方が満足できる製品を届けるために、日々努力を続けていると述べています。今後、得られた技術を応用し、より多くの顧客に愛される化粧品を提供していく方針です。このように、ファンケルの新しい無機顔料は、化粧品業界に革新をもたらす重要な進展となりそうです。