日立がAIエージェントを品質保証業務に導入し対応力を向上

日立が採用するAIエージェントの革新

株式会社日立製作所（以下、日立）は、社会インフラを支える情報制御システムの提供において、AIエージェントを品質保証業務に導入しました。この取り組みは、お客さまからの問い合わせ対応をより迅速かつ効率的に行うことを目的としており、熟練者の経験や知見を活用しています。

背景：品質管理における課題

製造業における品質管理は、熟練者の経験に大きく依存していますが、これが時には効率の悪さを引き起こす要因になります。特に電力、鉄道、上下水道などのOT（運用技術）領域では、長期間にわたる複雑なシステムが運用され、過去のデータや事例を迅速に活用することが求められています。これまで、品質保証部門は発生したトラブルに対し、膨大な情報を参照し、類似事例を特定するために熟練者の判断が必要でした。しかし、若手担当者がそれをこなすのは難しいという課題がありました。

AIエージェントの導入

この課題に対処するために、日立はAIエージェントを適用することに決定しました。具体的には、約3000万件に及ぶ過去のトラブル事例などが蓄積されたデータベースをもとに、AIが類似事例を検索・分析し、必要な情報を提供します。このプロセスでは熟練者の経験や知見を形式化し、それをAIが活用していくことで、対応の迅速化を図っています。

実証実験の結果

この取り組みの結果、AIエージェントによって情報検索時間が約9割も削減され、多くの問い合わせに対し高品質な回答が可能になりました。また、分析業務やレポート作成においても8割以上の時間短縮が見込まれ、品質向上にも寄与しています。このように、AIを取り入れたことで、担当者の経験やスキルにかかわらず、誰でも適切な情報にアクセスできる環境が整いました。

今後、日立では2026年度を目指し、鉄道システムの品質保証に留まらず、電力や上下水道などの他の分野にもAIエージェントの利用を拡大していく予定です。これにより、日立は社会インフラを支える一層の業務革新を実現することを目指しているのです。