日本初のリサイクル原料による業務用容器開発
近年、持続可能な社会の実現に向けた取り組みが急速に進んでいます。その中で、リサイクルによる資源の有効利用が特に重要視されており、さまざまな業界でのイノベーションが期待されています。このたび、BASFジャパン、興人フィルム&ケミカルズ、TOPPAN、J-オイルミルズの4社が協力し、日本初となるケミカルリサイクルポリアミドを用いた食用油向け業務用容器の開発を進めることが発表されました。
ケミカルリサイクルポリアミドの利点
本プロジェクトの根幹にあるのは、使用済み混合プラスチックを原料として新たにポリアミドを生産する「ケミカルリサイクル」という手法です。この手法を用いることで、従来必要だった化石原料の使用を減少させることができ、リサイクルを促進するという目的を達成します。具体的には、ケミカルリサイクルによるポリアミドの生産において、マスバランス・アプローチが適用され、同等の性能を持つ製品を作り出すことが確認されています。
協業の目的と展望
今回の取り組みでは、まず2026年3月までに、ケミカルリサイクルを利用した日本初の食用油向けBIB(バッグインボックス)の供給スキームを確立することを目指しています。また、将来的にはポリアミドを利用した複合包材の水平リサイクルも視野に入れ、より持続可能な循環型モデルの構築を目指しています。これにより、最終的には資源の埋立処分や焼却を減少させ、持続的な社会の実現に寄与することが期待されています。
社会背景と政府の取り組み
本プロジェクトの背景には、日本政府が進めるプラスチック資源循環戦略があります。2025年までにリユース・リサイクルが可能な材料構成への転換、2030年までに容器包装の6割をリユース・リサイクルすることなど、多くの具体的な目標が設定されています。しかし、複合包材に関しては商業規模での資源循環の手法が確立されておらず、焼却や埋立というのが一般的な処理方法となっています。この状況を打破するために、今回のような企業間の連携が重要となります。
各社の役割と強み
このプロジェクトでは、各社がそれぞれの強みを活かして役割を果たします。BASFがケミカルリサイクルしたポリアミドを生産し、興人フィルム&ケミカルズがそのリサイクル原料を用いてフィルム製造を担当。また、TOPPANが容器の製造を行い、J-オイルミルズが最適な包材設計を実施します。各社が連携し、プロジェクト全体を推進することによって、新たな価値を生み出すことが求められます。
今後の展望と課題
今後、BASF、興人フィルム&ケミカルズ、TOPPAN、J-オイルミルズの4社は、容器・包装材の調達や販売を進めるとともに、回収スキームや熱分解プロセスの構築においても他の企業や団体との連携を強化していく方針です。この成果は家庭から発生するプラスチック容器のリサイクルにも貢献することでしょう。2030年までの循環型モデルの実装を実現するために、一層の努力が必要です。
この取り組みは、持続可能な社会を実現するための重要な一歩といえるでしょう。今後の進展が非常に楽しみです。