癌を乗り越えた指導歴50年の書道家が生み出した自己表現の力

癌を乗り越えた書道家が伝えたいこと

日本全国で数多くの人々が癌という病と向き合っていますが、そこには決して一様ではないドラマがあります。指導歴50年の女性書道家は、自らの癌の体験を通じて新たな人生の羅針盤『終活の書®』を創出しました。この講座は、病気や生活の悩みを抱える人々に、自らの言葉と句で人生を振り返り、未来への希望を見出す手助けを目指しています。

癌と向き合う日々

この書道家は、癌の余波を受けた友人の悲しみに寄り添い、彼女に自らの人生を振り返るための手段を提供したいとの思いから『終活の書®』の構想を練り始めました。しかし、周囲の人々の苦悩を理解しつつも、病魔の影は彼女自身に忍び寄り、まさかの大腸がんの診断を受けることになりました。彼女はその瞬間、目に前が暗くなり、身近にいる者たちの不安や痛みを再認識したのです。

言葉の力を信じて

友人の介護の現実に直面する中、書道家は自身の手で書いた生命力溢れる文字に導かれるように、自分も病気と向き合う必要があることに気づきます。この『終活の書®』の講座では、ただ終わりを迎えるためのエンディングノートではなく、自身の人生を今後も輝かせるための羅針盤のような役割を果たす書として位置付けられています。自らの言葉で自身を励まし、勇気を持って日々を生きるための手助けができると確信した彼女はもはや書道家としての使命感に駆られました。

終活の書®の魅力

『終活の書®』は、多様な章に分かれた体系的な内容を提供します。各章を振り返ることで、自身の生活や過去を再評価し、感情を整理することができます。7つの章は、以下のように構成されています：
1. 春の章：生まれてから15歳までの思い出
2. 夏の章：中学から22歳あたりまでの出来事
3. 秋の章：社会人となった後の人生
4. 親の章：親に伝えたい言葉をまとめる
5. 楽しみの章：楽しかった記憶を掘り下げる
6. 喜びの章：心から嬉しかった出来事
7. 感謝の章：感謝の意を伝えたい相手へのメッセージ

このような構成により、参加者は書くことで自ずと気持ちを整理し、ポジティブな思考を育むことができます。書に込める内容は、必ずしも美しさを求めるものではなく、心のこもった言葉であることが重要です。最終的にはデザイナーによって形を整え、参加者の個性を反映した資に仕上がります。

最後に

彼女の経験から学べることは、人生は常に変化し続けるということです。癌を乗り越えた彼女は、自身の意志で新たな挑戦や再婚を果たし、今こそ多くの人々にその思いを伝える使命があると感じています。高齢化社会の中で、健康的かつ充実した人生を送るための『終活の書®』は、まさにこれからの時代に求められる新たな価値観を示しています。彼女の物語は多くの人に希望を与えると同時に、自らの人生をどのように構築していくかのヒントとなるでしょう。