食品期限表示ガイドラインの改正とその影響
株式会社シンクロ・フードが運営する「飲食店ドットコム」は、2025年3月に実施予定の食品期限表示のガイドライン改正に関連し、飲食店オーナーを対象にした調査を実施しました。その結果、飲食業界における食品ロスや仕入れの最適化を検討している実態が明らかになりました。
調査の概要
この調査は、2025年4月17日から21日にかけて行われ、316件の回答を得ました。調査対象は、主に東京都を中心とした飲食店経営者であり、71.8%が1店舗のみを運営しています。このため、結果には地域的な偏りが影響している可能性があると言われています。
食品ロス対策の実態
調査結果によると、食品ロスを減らすための取り組みとして、最も多くの店舗が行った施策は「仕入れ量の最適化」で、実に82.3%がこの対策を挙げました。また、60.4%が「食材の適切な保存方法」を実践しており、他にも「ひとつの食材を複数のメニューに使用する」「調理方法の工夫」「メニューの見直し」等が続きました。これに対し、何の対策もしていないと答えた店舗はわずか1.9%という結果です。
さらに、経営する店舗で特に減らしたい廃棄物としては、保管中に鮮度が低下した食品や消費・賞味期限内に使用できなかった食品が多く挙げられています。特に、保管中の食品が40.2%と最も高い割合を示しました。
在庫管理の課題
食品在庫管理に関しての課題には多くの店舗が直面しており、32.6%が「特にない」と答える一方で、管理に手間がかかるとする意見が31.6%、従業員の意識改革が難しいとの声も17.7%ありました。食品を安全に提供する工夫としては、80.7%が「冷蔵・冷凍保存の徹底」を挙げ、大多数が取り組んでいる様子が伺えます。
ガイドラインの認知度
このような状況を踏まえて、ガイドライン改正についての認知度を尋ねたところ、43.0%が「聞いたことはあるが詳細を知らない」と回答し、28.5%は「知らなかった」と答えました。詳しい内容を知っているのはわずか7.9%であることから、多くの店舗が改革の具体的内容を把握できていないことが分かります。改正に対する影響については、「あまり影響しない」との回答が48.4%、'まったく影響しない'が13.0%に達し、全体の6割近くが影響を感じていないとの結果となりました。
しかし、一部の店舗からは「食材ロス削減の期待」や「仕入れ・在庫管理への影響」といった意見も寄せられており、中には従業員教育の必要性や衛生管理に対する懸念も示されています。
現状維持の意向
さらに、ガイドラインの変更に対して、69.3%の店舗は「変更する予定がない」と回答しました。これは飲食業界における既存の運営体制の確立が影響していると考えられます。実際に、食材の仕入れ判断や廃棄ロス削減などに影響が出るとした店舗も少なくなく、新しいガイドラインへの適応が求められています。
結論
この調査から浮き彫りになったのは、飲食業界が食品ロスを減らすためには多様なアプローチが必要であり、ガイドラインの見直しがその一環としての役割を果たせる可能性があるということです。今後、食材管理に関する意識が高まることを期待しています。なお、調査の結果は「飲食店ドットコム(株式会社シンクロ・フード)調べ」として引用可能です。